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音放浪記2011.1.31〜2.2

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音放浪記
1/31
今朝もええ天気やけどカラカラに乾燥。意外と肌が弱く乾燥肌のブルーズマンはローションをつける。そして、加湿器はずっとつけぱなし。何故か小さいのに目も乾く。目薬も手放せない。
部屋の片付けをしながら、今朝の気分はズージャ・・・というところでマイルスから。
☆Miles Davis/Miles In Berlin
めっちゃ早い"Milestone"に聴き入って片付けが進まず。ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスこのメンツやからなぁ。もう自由自在。"So What"のトニーのドラム・・・・悶絶やな。

☆Lou Rawls/Live!
このアルバムはCDとアナログと両方持ってる。お気に入りの1枚。何でも歌えるルー・ロウルズの1966年のライヴ・アルバム。4ビート系のジャズ・ブルーズがほとんどだけど、「いそしぎ」「イパネマの娘」のようなスタンダードも収録されている。そういうスタンダードを歌う上手さを聴いていると70年代半ばの大ヒット・アルバム"All Things In Time"への流れがよくわかる。あの"You'll Never Find〜♪"はよう聴いた。
でも、元々はゴスペル・シンガーでサム・クックのマブダチやからなぁ。60年代初めにキャピトル・レコードでレス・マッキャンと知り合った頃からジャズ・シンガーとしてポピュラーな世界に出てくるんやけど、声よし、歌うまい、品がある・・みたいな感じで第二のナット・キング・コール目指してたのかなぁ・・。
このライヴ・アルバム、ドラムがアール・パーマー!ギター、ハーブ・エリス、そのふたりの名前見てこのアルバム買った記憶がある。

先日、レコード店で「これ何や?」とよく分からないままゲットした映像。今日は午後からこのDVDをずっと観ていた。
☆Down Home Music(DVD)
興味深く、勉強にもなるおもろい映像でした。
1963年にドイツの撮影班がドイツのTV用に撮ったフィルム。アメリカのルーツ・ミュージックを全米を旅しながら、様々な地域、街、村で歌われている音楽を撮影、録音したドキュメントだ。
ブルーズ、ゴスペル、ジャズ、カントリー、フォーク・・・白人、黒人問わずとにかく民衆が歌っていた音楽を集めたもので、すごく面白い。
プロなのか、アマチュアなのかわからない人もたくさんいて・・というか、そんなこともうどうでもええ感じ。
とにかくいろんなミュージシャンが次から次へと登場していろんな音楽を演奏する。
家の中、公園、ストリート、ベランダ、教会・・・いろんな場所で音楽は奏でられる。
しかし何と言っても教会やストリートで歌い、演奏されるゴスペルは強烈。とくに黒人女性たちのノリはすごい。男たちのようにいろんなところに放浪したり、移り住んだりできず、家を守り、子供を育てている黒人女性たちにとって教会はやはり唯一自分を解放できる場所やったんやね。

ニューメキシコの山岳民族の音楽はすごくプリミティヴで日本の民謡みたいだ。インディアンのアパッチの音楽もちょっと出てくる。

ブルーズ系で最初に出てくるのが、「サンフランシスコ・ベイ・ブルーズ」のジェシ・フラー。これは自宅の地下室か・・・。

その後にバークレーの白人女性のバーバラ・デイン・・・どっかで名前聴いたことあるなぁ。なかなかええ感じの歌やん。これは自宅の居間か?

やったぁ!60年代のローウェル・フルソンの映像やんか。サンフランシスコのクラブでやってます。カッコいい!男っぽい!みんな踊ってるけど黒人の女性はみんなお尻がでっかいなぁ・・。

自分の家のポーチでブルーズを歌うマンス・リプスカムの佇まいがいい。バックで流れるテキサスの風景もまた良し。

おっと!この丸顔、眼鏡、小太り、膝の上に置いて弾くドブロ・ギター、ブラック・エースちゃうの。自宅の居間で嫁と子供を相手にドブロギターをスライドさせて歌う実直そうなブラック・エースや。しかし、変わったシチュエーションやな。女房はまあ微笑ましく旦那のプレイを見てるようやけど、子供は飽きてるな。

ヒューストンの黒人クラブで歌うホップ・ウィルソンがちらっと映る。もっと見たい!

ヒューストン・・・・おっと!ライトニンのおっさんやんか!サイコロ博打に興じたあと、肩にタオルをかけて道端で歌うライトニン・ホプキンス。かっこいい。
その後酒場でギターを弾くライトニンが出てくる・・・・演奏、服装、シチュエーションもうすべてがかっこいい。
替わってルイジアナへ。
白人クラブで演奏されるカントリー。当たり前やけどダンスが黒人クラブと違うなぁ。
ルイジアナ、バトン・ルージュのミシシッピー川の川べりで、子供たちを横にブルーズを歌うウィリー・トーマス(思いっきり前歯が抜けている)
そして、ニューオリンズのプリザベーション・ホールのニューオリンズ・ジャズが始まる。
そのバンドでピアノを弾いて歌うスウィート・エマ・バレットのラグタイム・ブルーズバラッドがまたいい。ずっとカメラ目線というのがすごい。本当にずっとだ。
そのあとクラリネットのおっさんがソロを吹くジャズ・ブルーズがもう哀愁漂い昼間から酒飲みたくなる。飲むか・・。
ニューオリンズの風景が懐かしいなぁ。
すると、お葬式から墓場に向かうブラス・バンドが出てくる。

ミシシッピーに移り、ホッジズ・ブラザーズというカントリー・バンドが(たぶん)自宅の前で演奏している。黒人も貧しいが白人も貧しい中で音楽を生き甲斐にしていた。

ナッシュビル、テネシーのあのカントリー・ミュージックの祭典「グランド・オル・オプリ」に出ているヒルビリー・グループや、スタジオで録音中のカントリー・シンガー、曲芸みたいにご陽気にバイオリンを弾く白人のおっさんなどが次々出てくるが、カントリー・ウェスタン系に無知なためどういうミュージシャンかよくわからない。アメリカの偉大な音楽のひとつであるカントリー&ウェスタンを本当に聴かんとあかんな、これは。

1963年のアメリカの普通の人たちの生活ぶりも少しわかる貴重なフィルム「Down Home Music」はたっぷり楽しめた。

2/1
☆Hound Dog Taylor&The Houserockers/The Best & Unreleased
朝からこのアルバムで部屋が揺れている。なんせHouserockersやから。眠気も覚めテンションは上がる。
ハウンド・ドッグを聞いていると、ブルーズを歌う原点というか、音楽をやりたいという気持ちの原点のようなものに気づかされる。歌+ギター+リズム+サウンドが混然と一体化してハウンド・ドッグの心の中に渦巻いている"Blues"をすごく感じる。そして、その"Blues"をはね除けるかのように生々しく、強烈なビートが繰り出されて来る。ブルーズにリアルさが欠けたらなんの意味もないことを教えてくれる偉大なブルーズマン、ハウンド・ドッグ・テイラー。
ああ、気持ちいい!

2/2
用があり新宿に行ったついでに入ったレコード店でいくつか獲物(アナログ5枚、CD1枚)をゲット。
☆Clifton Chenier Lightning Slim etc/Bayou Drive
ニューオリンズのザディコ・ミュージックの親玉、クリフトン・シェニエがA面全部。B面がライトニン・スリムとヘンリー・タルバート。ルイジアナ・ミュージックのコンピだけど、これってチェスの音源なんや。チェスはいろいろ手広くやってたんやなぁ。しかし、シェニエの田舎臭い、もっちゃりしたブルーズ・・たまらん。と思っていたらB面のライトニン・スリムは田舎臭いより更に泥臭い、声、サウンド、ギター、ビート・・・もうブルーズの泥沼。ええなぁ、沈んでしまいたい。タイトルのバイユーってニューオリンズの沼地やけど、ジャケットのイラストそのまんま「沼地ドライヴ」や。

☆Eskew Reeder etc/Rockin' New Orleans with Ding Dong Flu
これもニューオリンズ系統。リトル・リチャードの前にリトル・リチャードみたいなことやっていたというエスキュー・リーダーとかのニューオリンズのコンピ。プロデュース、アレン・トゥーサン。エスキュー・リーダーもおもろいのですが、リトル・リチャードの方が曲、歌、ピアノ、インパクト(見た目のインパクトはこの人もかなりのもんやけど)・・すべての点でランク上かな。もちろんB級的素晴らしさはあります。失礼かこういう言い方は・・すんません、エスキュー・リーダーさん。

☆Cecil Gant/Rock The Boogie
まあ、1曲目のブギでノック・アウト!ジャンプ・ジャイヴ調からブルーズ。バラード・・どれを取っても素晴らしい。40年代の超人気ピアニスト/ブルーズマンだけに品質に間違いなし。とにかく、ピアノは絶品。インストだけでもOKだ。そしてグルーヴする左手を聴いているだけでも価値あり。大ヒットの"I Wonder"もそうだけど、ウエストコーストの都会派だけに洒落た風味もある。
こんなピアニストが弾き語りでブルーズ聴かせてくれるようなバーはないのか・・ないよな。あったら毎晩通う。しかし、千円ぽっきりでこんな逸品をゲットできるとはね。

☆Lonesome Sundown/Been Gone Too Long
名前が「寂しい日没」さんだもんなぁ・・・なんでまたそんな芸名になったん?本名はコーネリアス・グリーンさんやそうだ。サンダウンは今日最初に聴いていたクリフトン・シェニエのバンドでギターを弾いてレコーディングもしたが、何故かやめて故郷のルイジアナに戻ったそゔ。それからは地元のミュージシャンと活動していて50年代半ばからエクセロ・レコードで録音していた。僕が知ったのもエクセロのコンピに入っていたからだ。だが、何故か日没さんは1965年にぱったり音楽をやめて引退してしまう。急にばったり音楽をやめてしまい、シーンから消えるブルーズマンが結構いるけど何故か。音楽でメシが食えなくなったからか、他の仕事の方が儲かるからか、博打で負けて借金抱えて夜逃げか、不倫がバレて逃亡か、病気になったとか、ホレた女に「音楽やめてかたぎになって」と言われたか・・・。
このアルバムは日没さんの10年以上の引退からの復帰アルバム。顔つきと名前からダウンホームな、イナタイ、ルイジアナのブルーズマンなのかと思えば、意外とガツンと歌ったりして、おまけにソウルっぽいバラードなんかも入っている。A面最後の"Midnight Blues Again"などなかなか味わいがある。相棒のフィリップ・ウォーカーのギターもいい。日没さん、日本に来る話もあったけど来なかったなぁ・・・。

☆Doris Troy /The Doris Troy Anthology1960-1996
これは今日買った中で唯一のCD。あとは全部アナログ盤。
ドリス・トロイは、もう30年も前にアトランティックのコンピ盤で"Just One Look"を耳にして以来のファンだ。品のあるちょっと硬質な歌声は低めでいい。このアルバムは彼女の60年から96年までの幅広いコンピだが、60年代中盤あたりのR&Bっぽいのが私の好みだ。そして、彼女がビートルズのアップルからリリースした1970年の曲が2曲だけ入っているけど、アルバムが欲しい。アナログで。ジョージ、リンゴ、ステファン・スティルス・クラプトン辺りがバックやってるんよね。とくにジョージが彼女の声にぞっこんだったそうだ。ああ・・・「Mama I Want To Sing」の主人公というか、モデルもこのドリス・トロイなんよなぁ。しばらくこのアルバムで我慢してアップル盤探すぞ!