前日、観に行った沼澤くんから「素晴らしい」とのメールが届き、ツアー戻りで疲れていたがドクターを聴きに行くことにした。
メンバーはDr.John(Piano,Organ,Vo)+John Fohl(G)+David Barard(B)+Raymond Weber(Dr)の4人。
ステージが始まる直前に流れていたのが、先頃亡くなったエタ・ジェイムズの"Tell Mama"だった。それを聴きながら、僕はエタとドクターがからんだ"I'd Rather Go Blind"のTV映像を想い出していた。あれ、よかったなぁ。
当日買った僕の2階席からは、ドクターはピアノに向かっているためほとんどドクターの背中しか見えないが(反対側にセットされているオルガンを弾く時はお顔が拝見できたが表情までよくわからない)、上からなのでレイモンド・ウェバーのドラムワークがすごくよく見える。
レイモンドはニューオリンズに行く度にどこかのクラブや、フェスティバルでよく観たが相変わらずグルーヴィーでキレもコクもある。前日届いた沼澤くんのメールには「ドラム・ソロで踊らされたのは初めてかも」と書いてあった。もう文句なしにどんな曲をやっても素晴らしい。しかも、ずっと観ていると所々に入れる細かいロールや、繊細なシンバルワークがそれぞれの曲に豊かな表現を与えている。美しいドラミングだった。
ギターのジョン・フォールは僕の席からは反対側だけど、リズム・カッティングのシャープで気持ちいい音が聞こえてくる。ソロもひとつひとつの音が明確で、もちろんブルージーで、スピード感もあり、ときおり「イナタイ」・・好みのタイプだ。ドクターの音楽にはぴったりのギタリスト。
ベースのバーナード・バラードはもうかなり前からドクターとやっていてアルバムにも多く参加している。ファンクものからブルーズ、ジャズ系のものまで弾きこなす安定感のあるいいベーシストで、この人もドクターの音楽に合っているミュージシャンだ。
ドクターはいろんな顔を持っていて、もちろんニューオリンズ・ミュージックの大御所であり、デューク・エリントンのトリビュート・アルバムを出すジャズ・テイスト・ドクターもいる。そして、かってはサイケデリック・ドクターだったこともあるし、ファンクなドクターでもある。
本当にもう何枚アルバムを出したのだろう・・・・演奏される様々な曲を聴きながら、その大きな背中を見ながらドクターの長い音楽生活に思いを馳せた。
新しい"Keep On Going"などもやってくれましたが、名盤"Gumbo"からの"Blow Wind Blow"や"Mess Around"は嬉しかった。あのアルバムが僕にとっては初ドクターだったから。でも、格別嬉しかったのはドクターがギターを弾いたアール・キングの"Come On"をやってくれたことだった。
なんとも味のあるドクターのギターに盛り上がっていたら、隣りにいた興奮した見知らぬ若い男に「ギター、ヤバいっすね。ヤバいっすね」と話しかけられた。思わず「ヤバイね」と言ってしまった。
"Basin Street Blues"や"Right Place, Wrong Time"なども挟んで、本当に充実したそして幸せな1時間20分だった。
大好きなドクターの"Such A Night"は聴けなかったが、気分がよかったので自分で"Such A Night♪It's Such A Night♪ Sweet Confusion Under The Moonlight〜"と口づさみながら六本木から乃木坂まで歩いた。ドクターの音楽とワインで楽しくて疲れはどこかに消えてしまった。
月いちでビルボードでやってくれないかなぁ・・・・・ドクター。