ほとんど英語の歌しか歌っていない私になぜか「好きな日本語の歌を30曲挙げてもらえないか」という依頼が来た。依頼された編集の方は逆に英語のブルーズを歌っている私がどんな日本語の曲を選ぶのか興味があったようだ。
もちろん、好きな日本語の歌はたくさんありそれを30曲にしぼるのはなかなか大変な作業だったが、楽しい作業でもあった。
それで自分の幼少時からの記憶を辿って自分が好きな歌を想い出してみたのだが、中学1年のビートルズの出現以来、私は邦楽のレコードを買ったことがほとんどない。私が覚えている邦楽は他人からシングルやアルバムを借りたか貰ったか、町中やテレビ、ラジオで流れていたのを耳にしていたものだ。
やはり、英語でグルーヴのあるロックが好きで自分で買うのは洋楽ばかりだった。
そんな私なのに図々しく30曲を選ばさせてもらった。
やはり幼少期から中高生あたりに出会った歌のインパクトは強いものがあり、その後の日本語の歌の好き嫌いに大きく影響しているように思った。
また、英語の歌を日本語にして歌われたものも60年代にはたくさんあり、その影響も強く受けていると感じた。
ミュージシャン、評論家、ライター、プロデューサー、小説家・・・といろんな職種の100人が選んだ日本の歌の結果はなかなか意外な結末になっている。ひとりひとりのコメントも載せられている。
また、巻頭のきたやまおさむさんのインタビューには歌が広く大衆のものになっていく上において大切なことが語られている。
5月14日の発売ですので、すでに書店に置かれていると思います。興味のある方は御一読ください。
今朝、私が聴いているのは戦前のブルーズマン、サム・コリンズ。ジリジリというノイズの向こうから訴えかけるような歌声と素晴らしいスライド・ギターが聴こえてくる。作られた歌ではなく、生まれたままの、むき出しの、無垢なブルーズ。