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DIARY 2009/10/19 As The Years Go Passing By

塩次伸二が亡くなって1年が過ぎた。
去年の今日。あの慌ただしい一日のことを私はしっかり憶えている。夢の中のようにぼんやりしていたようだがなぜかちゃんと憶えている。駆けつけた斎場で悲しんでいる時間もなくお通夜、本葬の段取りに動いて、いろんな人たちと言葉をかわし事はどんどん進んであっと言う間に伸ちゃんは黒い車に乗せられて逝ってしまった。あっけない。そのあっけなさに涙も出なかった。
でも、私の中で塩次伸二がもういないんだ、もう会えないんだということが1年かけてボクシングのボディ・ブロウのようにじわじわやってきている。

この一年の間に伸ちゃんにまつわる写真や音源をいろんな方から送っていただいた。送っていただいた方には申し訳ないのだがそのほとんどをまだ見ていないし聴いていない。ウエストロードや伸ちゃんとやった本当に多くのライヴの音源は私自身が録って自分の手元にも山ほど持っているが、それも聴いていない。この1年、そういう気になれなかった。
忘れたいとか忘れようとかしたことはもちろんないが、いつも想い出しているかというとそれもない。
でも、この一年ほとんどのステージで私が使ったギター(クリーム色のテレキャスター)は伸ちゃんのギターだ。
今年に入ってからリリースされたブルーズ・ザ・ブッチャーの"MOJO BOOGIE"の録音もムッシュとの"ROCKIN' WITH MONSIEUR"もほとんどこのギターを使った。さすが名人塩次伸二が注文を出して改造しただけあって下手な私でもいい音を出してくれる。伸ちゃんが弾けばもっといろんな音色が出るのだろうが、それを聴けないのが残念だ。
このギターをいろんなツアーに連れて持っていき、帰ってきて拭いてケースにしまう時に時々彼を想い出す。
そんな薄情者だ、私は。
「そや、ホトケは冷たいからなぁ」と伸ちゃんは言うだろう。

すでに大村憲司、青木智仁、浅野祥之の3君の写真が飾ってある部屋の祭壇に塩次伸二の写真も飾ろうと今朝から探しているのになかなかいいのが見つからない。そう、いまもこうやって私を手こずらせてくれる塩次伸二。

昼過ぎ天気が良かったので来春に咲く花の球根をいくつかベランダで植えた。
植えながら伸ちゃんが小さな花柄のシャツをよく着ていたことを想い出した。それを着た写真があったはずなので再び探して探して探したら・・・・あった。
1975年、たぶん京都円山音楽堂の楽屋。
持っているのは愛用していた赤いギブソン335。
そして、ジージャンの中に着ているのがその小さな花柄のシャツ。
若いなぁ・・・伸ちゃん。
ふたりで「白水」という銀閣寺の中華屋にしょっちゅう行ってた頃です。
B.BのBlues Shadowなんかよくやってました。
また、いろいろ想い出すでしょう・・・この薄情者も。
では、私は明日もライヴです。
クリーム色のテレキャスターをJIROKICHIで弾かせてもらいます。
もう少しはいい音が出せると思って。
伸ちゃん、またね。ほなね。


25才の頃、故塩次伸二 (photo by takashi nagai)

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