<コジ犬主催>の野良犬たちと芸者お姉さんのライヴ(コジ、ツル、カナ、ヤギ、ホ
ットケープラスお姉さんStrings 岩戸有紀子 矢野晴子 大沼幸江) がなんだかお
もろくなってきた。例えて言えばジョン・リー・フッカー(私)がベルリン・フィ
ル(お姉さん)と共演しているようなものか。私が幼少の頃、バイオリンとバレー
(ボールではない、ダンスの方)を習っている女子はみな「ええしの子」つまりお
金持ちの子供でありました。小学5年の頃、バンビのような同級生のKさんは男子生
徒の約半数の支持率をもつ憧れの的でありました。連れの悪ガキたちとバレー・ス
クールにKさんをこっそり見に行ったこともありました。その時の練習に励む彼女を
見て「やっぱ、可愛いなぁ」とみんなは言うのですが、がに股のような足の格好や
つま先で踊る姿に「何か無理がある。あんまりかっこええことない」と僕は感心し
ませんでした。また、泥まみれになって遊んだ帰り道、立派な彼女の家の前をどき
どきしながら通り過ぎる時、聞こえてくるのがバイオリンの気品のある音でした。
結局、私は一言も彼女と喋ったこともないまま卒業を迎え、彼女は私立の中学へ行
ってしまい、バレーとバイオリンと彼女は深窓の奥深くへ包まれてしまったのです
。こういう体験がねじれにねじれて、どうせ泥まみれの育ちのオレには泥水親父が
お似合いさ・・とマディ・ウォーターズを好きになったわけではないが、その屈折
した気持ちが多少ブルーズに入りこんだきっかけになったかも知れません。
さて、あの山岸潤史が某歌手に「ブルーズだけはやめとけよ。ホトケみたいになる
ぞぉ〜」とアドバイスした事実が過去ありました。あんなヤツに言われたくないの
は当然ですが、かと言って決して他人に勧められるいままでの人生ではありません
。
<10/24(火)Jirokichi>は私がいかにしてブルーズに取り込まれ、人生を見失っ
たかを話しながらのライヴにするつもりです。題して「The Birth of my blues」。
この日は不肖、私の誕生日で前々からJirokichiのスタッフに「バースディ・ライヴ
」をやってくれと言われていたのですが、今さら「バースディ・ライヴ」なんて気
恥ずかしくてできないと断わったのですが、結局「バースディ・ライヴ」というタ
イトルはやめるということで合意というか・・。まあ、人生の良くない例として今
後のみなさんの人生に役立てば・・と思います。
<伸チャン・・・>人生と言えば、いままでの人生の半分の時間を共に生きてきた
塩次伸二がこの前緊急入院しまして、この夏以来友人知人の不幸が続いていただけ
に驚きました。栄養のバランスが悪く(要するに偏食ということ)、その弊害が積
もり積って心臓に押し寄せたらしく、心臓の弁が正常に作用していなかったらしい
。あと3日ほど遅かったら死んでると医者に言われ、さすがの気まぐれ伸ちゃんもこ
このとこ早寝早起きと食事に気をつかっている様子。夜の1時なんてフツーの人の夕
方6時ぐらいの生活ぶりだったのが、電話したらもう寝てました。朝は7時に目が覚
めるそうで、つい「近所の掃除でもしてるん?」とちゃちゃ入れてしまいました。
「以前宝くじが当たったときに人生の幸運の大半は使っているはずなのに、運良く
命拾いしたわ、はっはっはっ」と笑う当人。いつまでいまの殊勝な気持ちをキープ
できるか?
私の周りには「これ健康体」というヤツはいません。そういう私も自律神経系の病
を13才からずっとひきづっており、疲労がたまったりすると前触れもなく出てくる
厄介なやつです。病気自慢になりますが、tbはみんな何がしか病気持ちです。
<癒し系>ところで私のような神経系の故障には「癒し系」の音楽が良いとかで、
巷では「癒しの音楽」とやらが流行っているのをみなさんも御存知でしょう。「ミ
ュージック・セラピー」とか「ヒーリング・ミュージック」という言葉をよく聞く
が、Healingとは-「心身に働きかけて生命力・自己治癒力を引き出し,治癒・回復
を促す活動」つまり「癒し」。「ミュージック・セラピー」therapyとは-治療。治
療法。つまり音楽によって行う治療のことだ。しかし、何が、どういうものが「癒
し系」なのかというはっきりした規定はないようで、いくつか「癒し系」とやらを
聞いてみたのですが、言わばイージー・リスニング。私の心には何もひかからなか
った。中にはアレンジしすぎたイージーリスニングみたいなのもあり、私は癒され
るどころか余計にイライラしました。音楽はその音が好きな人にとってはすべてが
癒しではないのか?ブルース・スプリングスティーンのあの気張った血管ぶちぎれ
声が癒しになっている人もいれば、天童よしみが癒しの人もいる。何やら得体の知
れないものを持ち出して、それ風に名付けてひと儲けというのはいろんな業界でや
っていることだが、何か正体不明の新興宗教と似ていないこともない。それにして
も、人々はそんなに癒されたいのだろうか?そんなに疲れ、病んでいるのだろうか
?病みたいのではないだろうか?病気のひとつくらいないと、精神が多少ひ弱でな
いと、現代人じゃないみたいだし、アメリカのエリートは精神科医によくかかるそ
うだし、なんとなく鬱といえば鬱だし、そうだ軽い躁鬱にしょう。あんまり重いと
ヤバいと思われるから・・。アロマ・セラピーやって、癒し系の音楽聞いて、この
際菜食主義になっちゃおうかな・・休みには軽井沢あたりへ森林浴に行こう・・ま
あ、こんな手合いもたくさんいるのでは。そこで私は今日ここに「反癒し系」を宣
言いたします。とりあえずの目標は早いうちにジミ・ヘンの4CD・BOX Setを買い、
それをできるだけ大音量で聞き、60年代サンフランシスコのハイト・アシュベリー
へフィード・バックし、3日3晩トリップすることでしょうか。
<ブエナ・ベスタ+ブラインド・ウィリー・ジョンソン+ムーン>ずっとロング・ラ
ンを続けているキューバの「ブエナ・ベスタ」こそ、私にとっては最近の「癒し」
というか、「安らぎ」であり「活力」であります。プロデュースのライ・クーダー
はブルーズ好きにとっては昔から馴染みです。彼が音楽プロデューサーとしてその
名を映画関係者にも知らしめた映画「パリ・テキサス」をみなさんは御存知かと思
う。あの全編に流れるスライド・ギターは、30年代の盲目のゴスペル・シンガー、
ブラインド・ウィリー・ジョンソンのスライド・ギター、とくに名曲「Dark was
the night」から多大なヒントをもらっている。ライは「絶対に彼のようには弾けな
い。彼がこの世に存在したことが信じられないほどの素晴らしいギター」と絶賛し
ている。時折、僕は無性に彼の歌とギターを聞きたくなる。Moan(呻き)とスライ
ド・ギターだけの「Dark was the night」はじめ、ブラインド・ウイリーの曲は私
の精神をまっすぐにし、魂の汚れをぬぐい去ってくれほどに神聖な響きに満ちてい
る。ブラインド・ウィリーのようにギターを弾いてゴスペルを歌う人を「エヴァン
ジェリスト」と呼ぶが、彼はギターのネックに空き缶をつけて、そこにチップをも
らって生活していた。故郷のテキサスで夏も冬も街角で歌いつづけ、結婚してから
は奥さんに手を引いてもらってジョージア、ルイジアナへも旅をした。まさに神の
ために生きた人だが、貧しくとも身なりはいつもきちんとし、心優しく、堂々とし
威厳があったという。ある日、自宅が火事になった。新聞紙を積んでベッドにして
いたため放水で湿った黒焦げになっていた紙から、風邪、肺炎をおこし、妻は病院
へ連れていったが、盲目で黒人であったために診察を受けられず発病後、数日で亡
くなった。40才後半という若さだ。
<癒し系・リンク・ゴスペル>もうひとつずっと気になっている昨今の日本の音楽
事情。「癒し系」からリンクしている風でもある「ゴスペル」だ。さっきの「癒し
」の流れでゴスペルがちょっとしたブームだ。それも聞くのではなく「歌う」のが
ブームだ。でも、このブラインド・ウィリーの話から考えてもらいたいゴスペルは
宗教歌だ。信心なくして歌うものではないと僕は考える。ゴスペルはこういう音楽
ですと紹介するために僕は1曲だけ歌うことがある。何を考えているのか習い事をす
るようにゴスペル習ってまぁ〜すなどという人がいる。信仰心なく宗教歌を歌うこ
とはそこに精神の救いを切実に求めている人たちに対して失礼きわまりないことで
はないか?コーラス教室なら問題はない、ゴスペル教室と銘打って商売するのはや
めた方がいい。生涯「清貧」であった、ブラインド・ウイリーのような布教、信仰
のためにすべてを捧げた人たちに恥ずかしくなければ別だが・・。
「ブエナ・ベスタ」を見れば、音楽は作る前に自然とうまれるものだとわかる。あ
の車座になってレコーディングするやり方。互いに顔を見て、合図し、笑いあう、
みんなが同じグルーヴで動き、みんながいっしょに高揚していく。まさに音楽をプ
レイする自然なスタイル。ああいうことをこの国はもうずっと忘れている。すべて
の職業について当てはまるような気がする。タイトルからメロディからイメージ、
アルバム・ジャケットまでパクる(盗む)ことに無神経になってしまったこの国。
プライドはゼロ、(真似)ばっかりでマネーはいっぱい。スマップの「らいおんハ
ート」はミニー・リパートンの「Loving You」そのまんまでは・・。カラオケで歌
ってみてください。というのもコジ犬とこの間ライヴ終わってから夜中の3時半にカ
ラオケへ行ったからです。ワン!コジ犬はスティーヴィー・ワンダーなんぞワンワ
ンと歌ってました。僕はプラターズ。「煙が目にしみる」でした。知らん?って・
・・。火災訓練の歌とちゃうで。
今年のアバウトなスケジュール
10/24 JIROKICHI/The Birth of my blues/ホトケ、モリ、ツル、コジ、バカボン、
ヤギ
11/15 JIROKICHI/tRICK bAG
11/28 Blues Alley(目黒)tRICK bAG meets Big Horns Bee
切れのいいホーン・チームBig Horns Beeを迎えてのtb初の
R&B+Funk レビュー。
11/29 Blues Alley tRICK bAG "Together Again"
Guest 金子マリ
久しぶりに金子嬢を迎え、新しいデュエット曲をとただいま検索中。お楽
しみに。
12/2新潟三条市「ビッグ・ビート」with Mori
12/4 Jirokichiで塩次伸二セッション(ホトケ、大西)
翌11/5は船橋「月」にて (こっちはツルも一緒)。
12/19 Jirokichi
12/27 Jirokichi 塩次伸二セッション(コジ、ホトケ、坂井紅介、ツル)
12/30 Blues Allley 天敵年末大セッション(近藤房之助、ホトケ、正木五郎、青
木智仁、小島良喜 ほか)
モリのソロ・アルバムの再発がされていますが、はよ買うといた方がいいですよ。
そのカオス・モリ、また新しくギターを買った。前のギターのネックも換えていた
・・・ジミ・ヘン・ボックスへの備えか?音量だけ気をつけてね。
12月あたまに山岸帰国予定。シークレット・ギグの時はまずtbtのみんなに連絡しま
す!では、see you later,Alligator.After while Crocodile.
tbt
忘れるとこでした-ブラインド・ウィリー・ジョンソンの「Dark was the night」は
ベートーベン、チャック・ベリーの音と一緒に宇宙探索船「ヴォイジャー」で、月
にもう置いてあるというほんとの話。 |