J&B(浅野祥之、梶原順、松原秀樹、沼澤尚)に誘われて3日間のツアーに行った。あ
れは私にとって「ホトケの極楽旅」であった。いつもバンマスでツアーを回ること
が多い自分にとってゲストとして迎えられ、ステージの自分の領域以外何も仕切ら
なくていいというこんな楽な旅はない。自分がバンマスしかもマネージャーなしの
旅になるとバンマスである私はまるでツアー・コンダクターをしているようなこと
がある。「切符をなくした」「予定の列車に乗り遅れる」「行程表をなくした」「
腹が減った」「打ち上げの宴会はあるのか」「帰りの切符をキャンセルしてくれ」
「二日酔いが直らないので開演時間を遅らせてくれ」など・・ツア・コンというよ
り幼稚園の先生か?まず朝起きない奴を起こすことから頭が痛い。ホテルのフロン
トに「彼は病気持ちでひょっとすると息が出来なくて大変なことになっているかも
知れない・・・」と嘘を言ってドアを開けてもらい叩き起こしたこともある。そう
いうツアーではステージに出たときに一日の限定パワーの半分は消費されてしまっ
ている。ああ、奄美大島へ行く時、遅れてきたメンバーを乗せるために飛行機の出
発をフロントでゴネて遅らせたこともある。ヤクザかオレは?飛行機にハアハア息
を切らせて乗るとすでに離陸を待つ満員の乗客全員が「こいつか・・・遅れた原因
は・・」と眼を飛ばしてきた。ヤクザにはなれず伏し目がちに席に着いた。
J&Bの連中は腕効きなのでステージで心配することは何もない。最初に彼等が二曲ほ
ど演奏しているのを見ていて「こいつらはみんな犬顔だなぁ」と思った。梶原君は
私が子供の頃かっていたワイヤホックス・テリアに似ている。その犬は小さいくせ
に大きなシェパードに攻撃を仕掛けたことがある気の強い犬だった。梶原君がアグ
レッシヴに弾くときの姿がそれを思い出させる。ブッチャーはもう、秋田犬。秋田
犬でなくてもとにかくでかい和犬。黙ってムッとしている時は噛まれるのではない
か・・と私は注意している。松原君によく似た犬がいると思ってなかなか思い出せ
なかったペット・ショップの広告を見ていたらあった、あった あった!。ツアー
の宴席で飲んで笑っているやや目がタレたふわぁ〜とした顔とこのグレート・ピレ
ニーズいうのが重なる。タカちゃんはプ−ドルかな。芝生がある広い庭に放され、
家の中でも家族同様に扱われているプードル。もちろん血統書はある。ドッグ・フ
ードは食べない。レシピのある特製の食事が出されているので毛並みがメチャいい
。近所の犬仲間からは羨望の目で見られているが、あまりの血統の良さに喧嘩をし
かける犬もいない。ただ、遠くでブツブツ・・やっかみを言う犬がいるだけだ。そ
れが血統書なし、雑種の野犬の私か・・?人生の谷から谷、町の裏通りから袋小路
を歩いてきた野犬は別の意味でドッグ・フードを食べたことがない。フリスビーで
遊んだこともない。喧嘩が強いのが自慢だが、あまりきれいな手で勝ったことはな
い。ぼーっとそんなことを妄想していたら「永井ホトケ隆!」と秋田犬に呼び出さ
れステージに向かった。また呼んでください。アメリカ・ツアーなんか、いいね。
3/24はJ&Bと去年もやった亡き大村憲司を追悼するライヴ。メチャ忙しいJ&Bの連中
のスケジュールが私がこの日と決めた3/24だけみんな空いていた。私は憲司さんに
会いに行くと思っているが憲司さんも私達に会いたいと思ってくれているのか・・
奇跡の空き日だった。私は毎年一度、こんな風に大村憲司を思い出すライヴをJ&Bと
やるつもりだ。ライヴに来れない人もアルバムを出してあのきれいな音色と朴訥な
歌声を懐かしんでください。
3/30は目黒の「ブルーズ・アレイ」で久々の”We Love JB”のライヴだ。念のため
に言っておくがこれはJ&Bとは何の関係もない。かのファンク・ミュージックの創始
者、JB/James Brownの曲だけを演奏するライヴだ。そもそもこのセットはJBのブー
トレッグ・ライヴ・フィルム(ベースのブーツィー・コリンズがJBバンドに入った
直後のライヴ)を見て興奮した私の耳元でベースの青木智仁が越後屋のように「ホ
トケさん、これやるしかないでしょう・・」と吹き込み、私が「青木、おまえもワ
ルよのう・・・フッフッ、ハッ、ハッハハハ」と同意したところから始まっている
。鶴谷、青木の打ち出すファンク・グルーヴに佐山、稲葉のファンキーリズム隊、
そこにBHB(ビッグ・ホーンズ・ビー)の切れの鋭いホーン。そして、私は死ぬ気で
スクリーム、シャウトするしかない!もうひとつ、これはダンス・ミュージックだ
から、体が動かないはずはない。だからあとはみんなのDanceかな。現在JBが来日し
ていますが、JBはジャズのクインシー・ジョーンズ、ウエイン・ショーター、イギ
リスのホワイト・ブルーズの祖、ジョン・メイオールと同じ年69才。もう70才です
よ。日本ではゲートボールに盆栽の年ですが、前回来た時はコーラスの若い娘をや
たら全面に出しからみ、JBいまだ衰えずと思っていましたが、裏情報では「バイア
グラ購入」のニュースもあります。僕が初めて生JBを見たのは1971年か72年、「セ
ックス・マシーン」がヒットした後でした。腹のところに(SEX)と書いたジャンプ・
スーツで登場したJBに私は笑いと疑問と羞恥と尊敬などが一度に脳内で衝突したた
めにパニックになりました。
それから少し先になりますが4/24に日本のブルーズ系ライヴハウスの老舗
Jirokichiにて、噂
の弱冠16才のブルーズボーイ藤倉嗣久を迎えてブルーズ・ギグをやります。藤倉く
んにとっては初めてのプロの僕たちとのフル・ステージとなるわけですが、会う度
にうまくなっているのであなどれません。メンバーは永井ホトケ隆にギター森園勝
敏、ベース大西真、ドラムにファッツ岡地。是非、来て彼のノー・ギミックなブル
ーズ・ギターを御賞味ください。
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