昔、ドクターに初めて会った時にサインを貰った。色紙なんぞ用意する周倒ぶりがない私はジージャンに書いてもらった。ドクターが「名前はなんて言うの?」と聞いてくれたので「Takashiです」と言ったのだが、ドクターが書いたのは「Pakashi」だった。「Bakashi」でなくてよかった・・・と思った。そのドクターの新譜。ほとんど全曲にゲストを迎えたいわゆる「ゲストお迎えアルバム」なので、どうかな???と思っていたが、やはり決め所にはしっかりドクター・カラーが塗られている秀作だった。「ゲストお迎えアルバム」っていうやつはものによってはゲストの多彩だけで音楽的に生むものもなく終ってるものや、ゲストに主役が負けてしまっているものもあるので要注意。
1曲目は92年にリリースされた彼のアルバム「Going Back To New Orleans」の1曲目"Latinie Des Saints"のようなキューバっぽい、ラテン・フレイヴァ−たっぷりのインストで幕開け。このやるせない熱さに私は夏を感じる。
そして、このアルバムを即買いした理由のひとつは2.3曲目のゲストがメイヴィス・ステイプルだったことだ。かって一方的に結婚まで考えた(メイヴィスは私のことなど知りもしませんが)ことがあるほど、マイ・フェイヴァリット、メイヴィスだけに名前を見ただけで「買い」。言い添えると、この間の来日での彼女の(身体の大きくなり様に)私の結婚の意志はかなり遠退いてしまった。でも歌は少し声が出なくなってきているが、まだまだ私にとってはすごく魅力的だ。先日のステージで新譜を作ったと言っていたのでそのリリースを楽しみにしているところだ。
5曲目のニューオリンズのトランペッター、ニコラス・ペイトンがゲストで吹く"Dear Old Southland"の哀愁のあるメロディにニューオリンズの夕暮れを思い出し、エディ・ボやディヴ・バーソロミュー、ダーティ・ダズンのニューオリンズR&Bに夜更けのクラブの光景が頭をよぎった。シリル・ネヴィルとマルディグラ・インディアンを迎えたコテコテ御当地ソングもある。また、B.Bキング、ウィリー・ネルソン、ダーティ・ダズンを迎えた"Time
Marches On"も良かった。他にゲイトマウス、ランディ・ニューマンなどがゲスト参加している。もちろん随所にドクター風ピアノ・サウンドがコロコロと転がっている。バックの参加メンバーはアール・パーマ−やスヌークス・イーグリン、ウルフマン・ワシントンなどニューオリンズ勢で固めているがなんと言ってもパーカッションのウガンダ・ロバーツ(プロフェッサー・ロングヘア−のバックからのニューオリンズ・レジエンドだ)がまだ健在で参加しているのが嬉しかった。何しろ私は彼の車に乗せてもらったことがある!(彼はタクシーの運転手もしているのだ)このアルバム、夏の愛聴盤となりそうだ。マルガリータでも飲みながら聴くにはぴったり!(04/7/30記) |