ドクターと同じニューオリンズのピアニスト&ヴォーカリスト(ギターも弾くが)のジョン・クリアリーのこれも新譜。
「生まれた街を間違えた」と言ったことがあるほど、山岸潤史と同様にニューオリンズにすっかり馴染んでいるクリアリーは実はイギリス人。今回のアルバムの全体の印象はファンクだが、もちろんプロフェッサー・ロング・ヘアー、ミ−タ−ズなどの由緒正しいニューオリンズR&B、ファンク・サウンドの伝統を踏まえている。
1曲目のタイトル曲ののっけのキーボードの音からしてニューオリンズのア−シーなファンクの香りがする。ここ数年はB.B.キングのアルバムに参加したり、ボニー・レイットのアルバムではキーボード奏者としてだけでなく曲も提供し、ソング・ライターとしても評価の高いクリアリーだが、本作でもいい曲を書いている。ムンムンのサウンドが続く中、箸休めのようにアカペラ・コーラスの7曲目"Best
Ain't Good Enuff"が出てきたりするところも憎い。ドクターと同じようにアフリカン・ラテン・フレイヴァ−の12曲目"ZULU
STRUT"で終るまで1曲も飽きさせず、グイグイ惹きつけていくパワーがみなぎっている。彼が現在やっているバンド「Jon ClearyAnd The
Absolute Monster Gentlemans」が主体となって作られたこのアルバムだけど、ベ−スのコーネル・ウィリアムス、ドラムのレイモンド・ウィーバーといったニューオリンズの若手中堅が主体になっており、将来のニューオリンズ・サウンドを予感させる。これは力作と言うべきか。ビールにガンボでも食べながら汗かきかき聴いてください。(04/7/30記) |