MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.60




60-Lightnin' Hopkins/New York Boogie-The Sittin' In With/Jax Recordings
(P-VINE Records PCD-93001)(photograph参照
 

ブルーズの塊、ライトニン・ホプキンスはいろんなレーベルにたくさんの音源を残してくれたが、「ライトニンに駄作なし」という名文句があるほど彼のアルバムにつまらないものはまずない。今回P-VINEレコードからリリースされたこのアルバムは1951年にニューヨークと地元テキサス、ヒューストンで録音されたものだが、もちろんライトニンは「絶好調」だ。ヒューストンだろうがテキサスだろうが、ひとりだろうが他のメンバーがいようがそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!ブギでは君の家をダンスホールにするほど軽快に飛ばしてくれる。そしてドスの効いた渇いた声で歌われるスロー・ブルーズはテキサスの荒野に静かに沈んでいく夕陽のように情感に溢れている。どの曲を聴いても彼の強烈なグルーヴ感と独自の美意識にため息がでる全27曲。かけ声やふっとブレイクする音のすき間さえ「カッコいい!」と声が出てしまうライトニンのブルーズだ。中には"Hello Central"や"Coffee Blues"のようにビルボードR&Bチャートの10位内に入った曲も収録されているが、最初の5曲も聴けばライトニンの世界にすっぽり巻き込まれてしまう。やっぱり彼は"Mojo Hand"を持っている。
しかし、この安易に名付けられたような「ニューヨーク・ブギ」というアルバム・タイトルと潰れてしまった廃墟のようなバーで悲嘆に暮れている男のジャケット写真とのアンバランスはどうだ!?「ニューヨーク・ブギ」は「東京ブギ」「大阪ブギ」みたいなもんだが、歌の内容は別にニューヨークとは関係ない。黒人ブルーズマンはこういうタイトルを平気でつける。B.B.キングもアルバム"Live In Japan"で「ジャパニーズ・ブギ」という曲をやっていたし、最後には「ひかり88号/HIKARI#88」という曲もやっている。まあ、B.Bにもライトニンにも深いコンセプトはまったくない。ただ「ニューヨークで録音したし・・・そういうタイトルをひとつつけとくか・・」くらいの感じだろう。私はブルーズにあるそういうイージーさも大好きだ。October 2007 記


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