先のNo.60のライトニンのアルバムと同様に最近 P-VINEレコードからリリースされたThe Sittin' In Withレーベルの1949年と52年のサニー・テリーとブラウニー・マギーのデュオの録音集。このデュオもアルバムがかなりたくさんあってブルーズ初心者の頃どれを買ったらいいのか迷った覚えがある。そして、最初にあまり感心しないアルバムを手に入れてしまったためにこのデュオの良さを知るのにかなり時間がかかった。それで、もし現在このデュオを聴いてみたいという方にはこのアルバム「HomeTown
Blues 」をおすすめしたい。
サニー・テリーとブラウニー・マギーはブルーズ・デュオとしては一番知名度があるのではないだろうか。歌はふたりとも歌うがサニー・テリーがハーモニカ、ブラウニー・マギーがギター。ふたりとも個人名義のアルバムもたくさん出している。その個人名義の中にもふたりでやっている曲が入ったりもしている。一般的にデュオとして名前が知られたのは50年代末に白人の間で起こったフォーク・ブルーズ・ブームからで、それ以前はエレクトリックのリズム&ブルーズのバンドをやろうとしていたというから人生どうなるかわからない。まあ、「ムード歌謡をやろうとしてたんだけどたまたま演歌で売れちゃってね・・・」みたいなものか。でも、このデュオが「阿吽の呼吸」あり「打打発止」ありで多彩なブルーズを披露して、50年代、60年代、70年代とブルーズ・デュオといえば「サニー・テリーとブラウニー・マギー」とトップの座に君臨したのだから素晴らしい。しかし、長い間やっているといろいろ問題も出てくるもので、78年にライトニン・ホプキンスと一緒に来日した時はステージで互いにそっぽを向いてどう観ても仲が悪かった。演奏内容もライトニンのすごさ、えぐさが強烈でふたりの演奏のことをほとんど覚えていない。ただ、サニー・テリーのハーモニカの技が素晴らしかったことだけが印象に残っている。
このアルバム以外で私がお勧めするのは1958年に録音された"Brownie McGhee & Sonny Terry Sing"(Smithsonian
Folkways)と、60年代はじめにクラブ「シュガー・ヒル」で録音されたアルバム"Backwater Blues"(Fantasy)。後者はブルーズではポピュラーな"One
Bourbon, One Scotch, One Beer" や"Key to the Highway" "Careless
Love"などが収録されていて初心者の方にお勧めだが、それを聴いたら前者も押さえて欲しい。
私もハーモニカのKOTEZとデュオを時々やっているがこのサニー・テリーとブラウニー・マギーのようにはなかなかいかない。今回、このアルバムを聴いて改めて自分の非力を思い知った次第。ちなみにこのアルバム昼下がりのコーヒー・タイムに聴くとその後の仕事がはかどると思います。
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