今年もこれで最後のtbtになってしまった。政治家や経済人がよく「景気は底を打っ
た」と言ってるが、これは不景気がどん底に達してこれ以降は好景気に向かうとい
う意味らしいがこの1年に何度も「底を打った」と聞かされた。でも、まだ底がある
らしい。なんせマクドナルドが59円にしても売れなくて赤字を出しているのだから
・・。余談だがマックのようなファースト・フード店で1万円を出すと店員が大きな
声で「店長!1万円入ります!」と言うが、あれは何のため言うのだろう。あれは店
長がが店員を信用していないのでいちいち報告させているのだろうか?食べている
人達に聞こえてしまうでかい声で生々しい金額を報告するのはいかがなものか?そ
れは「味なことやるマクドナルド」の味なことなのか?艶消しやでマクドさん。不
景気で盛り返して来たのが、永遠のバンドマン御用達「吉野家」だ。バンドマンた
ちの評判では最近「松屋」が一番人気だが、ピアノの早崎君のように「味噌汁は吉
野家」という人も多い。そこにかってうどん三昧の四国ツアーを共にした塩次伸二
が「うどんは別腹」と語った讃岐うどんが参入してきた。トッピング・ウドンが売
れたらトッピング・ソバ・・・を考えている奴はいるだろうなぁ。しかし、高円寺
Jirokichiと駅の丁度まん中あたりにあるスタンドのうどん屋さん。あそこは
Jirokichiの店長 ワオさんの長年の御用達の店だがあそこは昔からコロッケなどの
トッピングをソバにもしている。一度御試しあれ。森園勝敏御用達「ドンキホーテ
」は着々とチェーン店を増やしている。夜中に起きていることの多いバンドマンた
ちにはまさに「真夜中のオアシス」(さてこれは誰の曲の邦題でしょうか?)。
100円ショップは大流行りだが、買わなくていいものまで買っているのはオレだけか
?来年は50円ショップが出る・・・わけないやろなぁ。
「ホトケの2002年音楽10大ニュース」
さて、今年世間の音楽ニュースとはちょっと違う「ホトケの2002年音楽10大ニュー
ス」をお送りしょう。(1から10だからと言って1が一番重大という意味ではない、
At Randomです)
1.アレサ・フランクリンのお姉さんで歌手のアーマ・フランクリン(Erma
Franklin)が9/7に亡くなった。アレサの姉さんと言ってもほとんどの皆さん御存知
ないと思うが、彼女の最もヒットした曲が "Piece of My Heart"(邦題「心のかけ
ら」)と言えば、どこかでこの曲名聞いたことがあるという人もいるはずだ。そう
、これは金子マリもカヴァーしているが、ジャニス・ジョップリンのカヴァーで知
っている人たちも多いと思う。1967年のこの曲がアーマの唯一のトップ10に入った
ヒット曲だった。妹アレサのように天才的な歌の表現力や歌唱テクニックは持って
いなかったが、アーマのゆったりとした良き時代のR&Bの歌のグルーヴはとても心地
いいものだ。恐らくアレサにはこの味は出せないと思う。たくさんのヒット曲もな
かったし、妹ほど有名ではなかったけれど彼女が楽しい音楽人生を送ったことだろ
うと思いたい。冥福を祈ります。
2.アメリカの民族音楽収集家、アラン・ロゥマックス(Alan Lomax)が7/19に亡く
なった。
アラン・ロゥマックスと言っても、これまた皆さん知らないかも知れないが、この
人とこのアランのお父さん、ジョン・ロゥマックスなくしてアメリカの民俗音楽史
、そしてブルーズ史は語れない。このロゥマックス親子は1930年代に車にエジソン
が発明したシリンダー式と言われる昔のレコーディング機械を積み込んで、アメリ
カの南部、中西部のワーク・ソング、フォーク、カントリー、ブルーズ、スピリチ
ュアルなどアメリカに点在する数々の民俗音楽を録音し残すという素晴らしい仕事
をした。1934年に刑務所で服役中だったブルーズマン、レッド・ベリーの素晴らし
い歌と演奏を残した有名な録音はじめ、41年にロバート・ジョンソンを噂に聞き、
録音しに来たがすでにジョンソンは殺されて見つからず、代わりにジョンソンのよ
うに歌える奴がいると紹介され録音したのがマディ・ウォーターズだった。この時
の出会いがなければ、後にシカゴ・ブルーズの帝王としてのマディの存在はなかっ
たかも知れない。父ジョンは48年に亡くなってしまったが、その後もアランが仕事
を引き継ぎ、数々のアメリカの民俗音楽を録音したが、1930、40年代という時代に
名も知られていないミュージシャンを探して、車であの広いアメリカを駆け回った
のかと思うと頭が下がる。いま、僕たちがブルーズを聞いて感動できるその中にも
ロゥマックス親子の偉業の成果が含まれていることを覚えておいて欲しい。ロゥマ
ックス親子に感謝!
3.マジック・サムの未発表テイクのアルバム”Rockin' Wild In Chicago”デルマー
ク・レコードよりリリース
死後33年、もうないだろうと思っていたマジック・サムの63年から68年までのシカ
ゴの3つのクラブでのライヴを収録したものだが、いやーーまいった。今年の後半は
これで乗り切った。
69年に亡くなったサムがもう少し長生きしてくれて少なくとも70年代前半まで生き
ていてくれれば、僕は彼の強力なライヴを体験できたかも知れないのだが、このラ
イヴ・アルバムを聴いて改めて思ったのはやはり「ライヴを聴かなければダメだ」
ということ。音楽はライヴだ。ブルーズはとくにリアリティが重要な音楽的要素だ
けにライヴで聴くのがいちばんだ。「一枚のアルバムか一回のライヴか」と究極の
選択を迫られたら僕は迷わず一回のライヴだ。
4.「四人囃子」と「スモーキー・メディスソ」の復活ライヴ
僕だけでなくたくさんの人達が今年のこの2バンドの復活ライヴを楽しんだことだろ
う。特に現在「プログレッシヴ・ロック」というジャンルをやる若いバンドがいな
い中、日本のプログレッシヴ・ロックの祖「四人囃子」の復活ライヴは多くの人に
とって、特に若い人達にとって貴重な体験だったと思う。そして、かって僕達が「
ロック」と呼んでいたものが何であったかこのふたつのバンドのライヴは「音」で
示してくれたと思う。僕の個人的な嗜好だがチャーは金子マリとプレイしている時
、いちばんいい音を出していると思うが、いかがか?。
5.今年最もデュオを組んだLAST FEMALE R&B SINGER....LEO
LEOのことはずっと前から知っていたが、まさかこんなに楽にデュエットできる相手
だとは思っていなかった。まあ、僕が楽だと思っている分LEOは大変なのかも知れな
い。次なるデュエット曲も積極的に選んでくれるところも嬉しい。そういうやり取
りは互いに新しい世界を知るきっかけになるからだ。覚えの悪い私ですが、来年も
よろしくLEO様。
6.新しい出合い/塩次伸二とブッチャー浅野、正木五郎と松原秀樹
音楽、それもブルーズというセッション性の高い音楽をやっている自分にとって音
と音の出会いの場をセッティングし、それが素晴らしい融合を生み出し予期せぬ音
に高まった時ほど嬉しいものはない。塩次伸二とブッチャー浅野のギタリスト同志
の音の融合はまさにそれだった。これはブッチャーから「塩次さんと一度プレイし
てみたい」という申し出で実現したのだが、自分がやりたいことを本当に素直に言
えるブッチャーに自分が忘れたものを思い出した。そして、ブッチャーのその真摯
な申し出に塩次もストレートに音で応えた。最初のライヴが終わった後すぐに次ぎ
のライヴを決定したほど、全員がもう一度やりたくなるライヴだったが、来年はも
っと密度の濃いものを期待していただきたい。そして、このセッションの後、今度
は松原秀樹から「正木五郎さんと一度やってみたい」という申し出を受け、「結婚
相談所」じゃないが「セッション相談所」の所長としては即実現を試みた。セッシ
ョン後の松原秀樹の「(リズム隊を組んで)めちゃくちゃ楽なドラマーでした」と
いう一言で、そのセッションが良ったことがわかってもらえると思う。
7.ジャズの名ベーシスト、レイ・ブラウンが75才で天国へ・・
また訃報で申し訳ないが、僕にとっては忘れがたい想い出のあるベーシストだ。
75年だったか・・まだ、京都に住んでいた頃、エラ・フィッツジェラルドが来日し
その京都公演が京都会館であるというので行った。当時はアフリカン・アメリカン
のライヴであればブルーズだろうが、ソウルだろうがジャズだろうが、とにかく聴
きに行っていた。そのときピアノのトミー・フラナガンと一緒にエラのバックでプ
レイしていたのがレイ・ブラウンだった。ごつい顔つきとは反対に繊細なレイのベ
ースラインの上をエラはスタンダード・ジャズからスティーヴィー・ワンダーの曲
まで滑るように軽やかに歌った。すべての歌をエラ・フィッツジェラルドのものと
して歌ったその見事さに開いた口が塞がらなかったが、それが実にソウルフルであ
ったことに落涙した。終わってから知り合いがいて楽屋に通してもらった。そのと
き買ったばかりのエラとジョーパスのデュオのアルバムにサインして貰ったが、そ
れはいまも大切に聴いている。その時、「あなたの歌も素晴らしかったけれどベー
スのミスター・レイ・ブラウンのベースがとてもスムースで、あなたの歌にぴった
りでした」みたいなことを下手な英語でエラに言うと、彼女が「素晴らしい、グレ
イトなベーシストよ。昔、私の旦那だったんだけど・・・」と言って微笑んだ。最
後の方がよく聞き取れず「ほんとに旦那だったのだろうか・・」と思い、よく通っ
ていたジャズ喫茶のマスターに聞いたら本当にふたりは昔、夫婦だった。別れてか
ら何年も経っているのだろうけど、恋の歌を歌うときにふたりの胸には何が過って
いるのだろう・・と、ずっと気になっていた。もし、もう一度会えたら訊いてみた
かった・・。ふたりとも天国へ行ったからまたレイの滑らかなベースラインの上を
エラは自在に歌っていることだろう。あのときの"You are the sunshine of my
life"・・・絶品だった。
8.「ブルーズ・パラダイス」の開始
「ブルーズ・パラダイス」というのは僕が以前出した本のタイトルなのだが、それ
をタイトルにしたちょっと喋り多めのライヴを今年になって水戸の「ブルー・ムー
ズ」と船橋の「月」で始めた。両方とも結構盛り上がってきている。毎回テーマを
決めてそのテーマに沿った、主にブルーズとブルーズマン、歌詞や音楽的な内容に
ついて普段のライヴより話を多くしたライヴを行っている。いつもライヴをやって
いる時も「もう少し何か説明した方が聴いている人達にわかりやすいかな・・・」
と思ったりはしているのだが、なんせ一度にひとつのことしかできない性格なもの
なので、気になりつつもそのままで来ていた。ブルーズだけでなくそれにまつわる
音楽や、ミュージシャンの話だけでなく、珍しい音源も流したりしてビギナーの人
達にも分かりやすくしているのでいままで「ブルーズ聴かず嫌い」だった人は是非
一度来ていただきたい。次回の水戸「ブルー・ムーズ」のテーマは<B.B.King>、
船橋の「月」は<フレディ・キング>です。このライヴは基本的にもうひとりかふ
たりの助っ人を加えてになるのでバンドではありません。地方でも都内でもやって
ほしいと思う方はこのマガジンの最後に書いてあるアドレスに御連絡ください。
9.ニューオリンズで増々活躍する朋友、山岸潤史
音楽雑誌その他音楽関係のメディアが何故山岸のアメリカでのがんばりを日本の音
楽ファンに伝えないのか?!いい加減、どっかの出版社にひと暴れに行こうかと思
うほどだ。日本で金稼ぎをしてそれをもってただアメリカに住んでいるという有名
日本人ミュージシャンがいることはみなさんも御存知だと思う。アメリカに住むと
いうことなら金さえあれば誰でもできることで、ミュージシャンとしてはアメリカ
で実際日常的に演奏していなければ、観光客じゃあるまいし住んでいるという意味
がないと僕は思う。シカゴに住むピアノのアリヨやハープの湯口君、ギターの菊田
君などは自らが演奏することで立派にそれで生活している。彼等以外にもそういう
日本人はいるのだが、何故か日本の音楽メディアは「目」がない「耳」がない「脳
」がないのか、日本人として誇りに思えるそういった人々の活躍をほとんど伝えな
いで、ただ住んでいるだけの「有名」ミュージシャンのことばかり伝えている。何
か裏でないわけがない。多分、所属レコード会社から宣伝費をたっぷりもらって腹
いっぱいで何もできないんだろう・・。腹をへらせば足の動きもよくなるはずだが
・・。という訳で、僕の朋友、山岸潤史のニューオリンズでの活躍ぶりも何にひと
つメディアで取り上げられていない。ギタリストとしてだけでなく、プロデュース
やアレンジまで手掛け、いまやニューオリンズで彼を知らないミュージシャンいた
ら確実にそいつは「モグリ」だ。先日、偶然「Jirokichi」で同じようにニューオリ
ンズでがんばっているヒロナリに会ったら「いや〜、山岸さんはもう僕らと格が違
いますから・・」と言っていた。去年の「Off Beat」誌(ニューオリンズ一帯で発
行されている日本の「ぴあ」のような情報誌)の人気投票ではギタリスト部門で堂
々のトップになったのにどうしてトップ記事でつたえないのか?!アホとしか思え
ない日本の音楽メディアだ。彼を表紙にしろとは(いろいろビジュアルもあるだろ
うし・・・)言わないが・・・いや、グラミーでも来年とったらあわてて表紙にも
するんだろうなぁ・・・めちゃ持ち上げて・・・山岸、その時は日本の音楽メディ
アは取材拒否せえょ!
10.藤倉嗣久 、小川翔 10代のブルーズギタリストの登場
藤倉君を連れて名古屋にツアーに行ったときにそのライヴハウス「TOKUZO」に現わ
れたのが小川君だった。現在、ふたりともスクウィーズ派のブルーズ・ギターを弾
いているがこれからどう変わっていくか、成長ぶりが楽しみな才能のある10代の少
年たち(もう青年か?)。そして、変にパンクの影響のない、久しぶりの正統派の
登場に僕は大いに期待している。かきむしるだけのパンク・ギターなんてもう辟易
、ギターは女を抱くように弾くもの。
ランク外
かってはゴルフに興じていたおっさんの中にこの不景気でゴルフに行けず、昔取っ
た笹塚、いや杵柄のギターを押し入れから取り出してスタジオで練習しているおっ
さんバンドが結構いるらしい。中にはひとりでスタジオに来てマーシャルのアンプ
を大音量で鳴らし、ツェッペリンを絶叫していくおっさんがいるという。大阪、堺
の某スタジオでは会社帰りに気軽に寄って練習できるように「ギターの貸し出し」
をしている。会社にギターを持っていくわけにはいかないサラリーマンの気持ちを
汲んだサービスだと思う。金のかかるゴルフには行けず、カラオケで歌う歌もあま
りない、さあバンド組んでマジック・サムの”Out Of Bad Luck”でも練習してくれ
。トラッドな”Nobody Knows You When You're Down & Out”もいいかも。リアリテ
ィある人たくさんいると思う。
で、今日12/24は荻窪ルースターで若い「仏壇返し」と藤倉といっしょに「メリー・
クリスマス・ベイビー・ブルーズ」のライヴだ。ブルーなクリスマスをひとりで迎
えようとしている君!あなた!憂さ晴らしに是非ルースターへ。では来年にむけて
のスケジュールです。
#スケジュール:
12/24 荻窪ルースター"仏壇返し+藤倉つぐひさ+ホトケ
12/29 高円寺JIROKICHI/ENDLESS BOOGIE 2002 VOL.2
鮎川誠g+シーナvo+小堀正b+ホトケvo g+岡地曙裕dr
12/30 JIROKICHI/ENDLESS BOOGIE 2002 VOL.2
小堀正g+レオvo+ホトケvo g+松本照夫dr+岡雄三b+YANCY (pf)
12/31 東京厚生年金会館「ROCK LEGENDS C O U N T D O
W N」(テレビ朝日主催)/ 金子マリvo+森園勝敏g+岡井大ニdr+金子統昭
dr+大西真b+ホトケvo+石井為人dr
他バンド
多数
1/16 奈良Never Land/ 塩次伸二+永井”ホトケ”隆のデュオ
1/17 大阪Big Cat/ 塩次伸二+永井”ホトケ”隆+小島良喜+大西真+正木五郎
1/18 名古屋Otis/永井”ホトケ”隆+木下和彦のデュオ
1/22 船橋「月」/ブルーズパラダイス-永井”ホトケ”隆+中野靖之+上村秀右
1/29 高円寺Jirokichi「ブルーズ鏡開き」/永井ホトケ隆vo,g 浅野祥之g 友成好宏
key 松原秀樹b
正木五郎dr
1/30 高円寺Jirokichi「ブルーズ鏡開き」永井ホトケ隆vo,g 森園勝敏g 石井為人
key
岡 雄三b 上原裕
dr
<ライヴ問い合せ先は以下の通り>
JIROKICHI:03-3339-2727 http://www.jirokichi.net/
ルースター:03-5347-7369 / 03-5347-7369 http://www.rooster.jp/
奈良Never Land:0742-27-5840 名古屋Otis:052-241-6975
船橋「月」:047-424-0706
#12/31「ROCK LEGENDS C O U N T D O W N」は20:00か
らの第一部に僕達は出演予定ですが、詳細はテレビ朝日のイベント・ウェブ、こち
らをサーチ http://www.tv-asahi.co.jp/event/
#今年もライヴに通ってくれたみなさんありがとう。この年の瀬、先日明治神宮へ
行った時に、永井は一ブルーズ・ライヴ戦士として日々を全うしていく覚悟を新た
にしました。 来年はもっとガンガンにライヴやります。よろしく。よい年を!
Very Merry Chiristmas!! |