月間誌の「ブルース&ソウル・レコーズ誌」などアフリカン・アメリカン音楽の書籍を数々出版しているブルース・インターアクションズから、ブルース初心者向けの楽しいガイド・ブックが出た。
ブルーズだけでなく音楽の出版物は評論家、ライターが初心者のことをあまり考えないで、専門用語や了承済みと思われている言葉を使うので、初心者にとっては少し読むだけで嫌になってしまうものが少なからずある。中には仲間内だけで盛り上がっているものや、自己満足で終っている文章もある。ひどいのはやたら難しい言葉を使い、一体何が書いてあるのやらさっぱりわからないものもある。そういうものが、その音楽に興味をもち始めた人達を遠ざけてしまうことも多い。音楽を文にすること自体が不可能に近いことなのだから、音楽を文にする人、編集に携わる人たちは自分の気持ちの中にそういう戒めをいつも持っているべきだと思う。
しかし、私も経験があるが、依頼された文字数が少なすぎて専門的な言葉に解説や注釈を書く余裕がないことも多い。だから、今回出版された「ブルースの世界/オフィシャル・ガイド」のような初心者向けのガイド・ブックはいつの時代も必要だと思う。初心者向けとしてブルース用語やブルース人名辞典などは、このくらいで充分だろうし、娯楽的な楽しさも満載されている。写真も多くわかりやすい。要望を言えば、日本のブルースについても少しは触れて貰いたかったことと、ブルースの歴史的な流れの部分がもう少し詳しくてもよかったかなと思う。個人的には私もよく使「いなたい」という言葉が用語のところに出ていたことに感動!した。この言葉も私達ブルース・ミュージシャンが使っている日本のブルース用語なのだから、日本のブルースには触れるべきだったと思う。改訂版の折には是非考えてもらいたい。ブルース映画がこれから続々と公開されるこの時期に、みなさんこのガイド・ブックを手にブルースの果てしない旅に出てみてください。Photographに表紙写真あります。 |