続いてBrotherの方はBHB"ビッグ・ホーンズ・ビー"(金子隆博ts,織田浩司as,河合わかばtb,小林太tp,佐々木史郎tp)の新譜「Why
Can't We Be Friends?」(Photograph参照)だ。サックスのフラッシュ金子君をリーダーとするBHBは日本で一番のホーン・グループだ。現在日本にはいくつかホーンを主体としたグループがあり、またホーン・セクションを入れているバンドも増えてきたが、そのピッチ、リズム、グルーヴ、スピードなど音楽的に言ってBHBがトップだと私は思う。私が時折やっているジェイムズ・ブラウンのカヴァーだけをやるセッション「WE
LOVE JB」で、ホーン・セクションをやってもらっているのがBHBだ。いつも言っているのだが、彼等なくして「WE LOVE JB」セッションは成り立たない。打楽器のように細かく、強くホーンを使うJBの曲でホーンが息を合わせるのはかなり難しい。それをやっ
てのけるのは日本ではBHBしかいないと私は思っている。さて、彼らの新譜のタイトルを見て「おお!」と思う人はかなりのソウル・ファンク通だ。このタイトル曲は"The
World Is A Ghetto"や"Cisco Kid"のヒットをもつウエストコーストのファンク・バンド、"WAR"が1975年にヒットさせたものだ。そのタイトル曲はじめ、意外なアレンジのビートルズのカヴァー"Come
Together"、またテレビ映画ドラマのテーマだった"Mission Impossible"のラテン風味もいい、ジャズのホレス・シルヴァーの"Nuttville"は4ビート隠し味ラテン仕立て、そしてもちろん彼等のオリジナルなども含め多彩な曲が、強力な結束力をもって録音されている。リズム隊はドラム沼澤尚、ベース沢田ひろし、ギター浅野祥之という鉄壁の布陣。そしてBHB。こういうメンバーが集まればこういう「いいモノ」が出来るのは当然だ。また、アルバム・ジャケットの赤い色のように燃える、そして炸裂するシャープで、ハードなホーンの切れ味がトランペットの佐々木史郎君の新加入によって更に増したように思える。朝起きて、「さあ、これから仕事だ!」という出陣の気合いを入れるのにこのアルバムはピッタリだ。テンションが10目盛りぐらいは上がる。ドライヴ・ミュージックにも最適と思われるが、思わずアクセルを踏み込んで
しまう可能性もあるので御注意のほどを。 |