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My Brother&Sister BHBと吉弘知鶴子の新譜
吉弘知鶴子/Live! Gospel Piano(Anima Music AJCD-0027)

まずはレディ・ファースト、キーボード奏者の吉弘知鶴子さんのアルバムから。吉弘さんと最初に会ったのはいまから15年くらい前?そんなになるかなぁ・・・でも、そのくらい経ってると思う。ギターの山岸潤史に紹介されたが、山岸がミュージシャンだと紹介しなかったし、場所がライヴハウスだったので私は普通の音楽ファンだと思った。正直にもうひとつ付け加えるなら可愛い、きれいな女性だとも思った。すると、しばらくして吉弘さんの方からその2年ほど前に、私も出演したジャズ・フェスで会ったことがあると言われた。その時、吉弘さんは某フュージョン・バンドのメンバーとしてキーボードを弾いていたと言われ、そう言われれば・・・と思ったが例によって酔っぱらっていた私ははっきり記憶してなかった。それから時々顔を合わせるようになり、セッションもするようになったが、決定的だったのはニューオリンズで一緒に過ごした日々だった。と言ってもふたりで愛の逃避行をしたわけではない。山岸が住み始めたニューオリンズの家で、旅行に行った何人かで2週間ほど一緒に過ごしたのだ。吉弘さんは毎日精力的に出歩き、コンサートやライヴだけでなくニューオリンズの街のどこに何があるかとかどこの何が旨いとかいうことをよく知っていた。そういえば郵便局の場所も吉弘さんに聞いた覚えがある。
一緒に食事に行ったり、一緒にライヴに出かけたこともあったが、私の印象は独立心のある行動力のある吉弘さんだった。でも、私や山岸のバカ話にのって来ないわけではなく、バカなこともバカな話も大好きな人だ。つまり、オープンな気持ちの人だ。そして、もうひとつ大切なことであり、私が好きなのは彼女には「品」があることだ。英語で言えば、この彼女の新譜にも収録されているゴスペルの名曲"Amazing Grace"の"Grace"だ。それは彼女の生まれ、育ちで培われたものだと私は思っている。
しばらくセッションをしていなかったので、この新譜「Live! Gospel Piano」(Photograph参照)を通して久しぶりに吉弘さんの音を聴いた。このアルバムは彼女がニューオリンズで女性シンガー、マーヴァ・ライトのバンドでピアノを弾いているのをたまたま聴いたケンタッキーのバプティスト教会の牧師さんが、彼女のプレイに感動して自分の教会に彼女を招いた時のライヴだ。その牧師さんがいかに彼女のプレイに感動したかはアルバム・ライナーに書かれている牧師さんの挨拶の訳文を読んでください。ここ数年、彼女が日本の米軍基地の教会でピアノを弾いていることも、一昨年1年間ニューオリンズへ行った際には前述したマーヴァのバックで活躍していたことも知っていたが、まさかゴスペルしかも本場アメリカ、バプティスト教会でのライヴとは驚いた。何も聞かされていなかった私が偶然新宿タワー・レコードでこのアルバムを見つけた時の驚きを、わかりますか?吉弘さん。購入した後、私はすぐさま彼女に携帯で電話して言いました-「水くさいなぁ」と。いままで、いろんな吉弘さんを聴いてきましたが、このアルバムで吉弘さんはひとつ美しく、強い、花を咲かせたように感じました。これからも彼女はいろんな音のある場所に旅するでしょうが、ここ(ゴスペル・ピアノ)は彼女がゆっくり座ることのできる場所のひとつであるように思います。たぶん、私にとってブルーズがそういう場所であるように・・・。と、言うことは吉弘さんは「聖」なる場所で、私は「俗」な場所ということになり、吉弘さんは「天使」で私は「悪魔」か?か?か?でも、この「天使」と「悪魔」が3/18(金)に船橋の「月」でセッションをするので日頃「聖」と「俗」の生活に心揺れている方は是非お越しください。そして、その前に吉弘さんの単独ライヴが2/26(土)に「銀座スウィング」で行われる。このライヴ・アルバムを収録したバプティスト教会の牧師さんもアメリカから来られ、米軍基地のクワイアーの応援参加もあるそうです。是非素晴らしい彼女のゴスペル・ピアノを、みなさんも一度聴いてみてください。ライヴが聴けない方はこのアルバム「Live! Gospel Piano」を聴いてみてください。


BIG HORNS BEE/Why Can't We Be Friends?(ビクター VICL-61536)

続いてBrotherの方はBHB"ビッグ・ホーンズ・ビー"(金子隆博ts,織田浩司as,河合わかばtb,小林太tp,佐々木史郎tp)の新譜「Why Can't We Be Friends?」(Photograph参照)だ。サックスのフラッシュ金子君をリーダーとするBHBは日本で一番のホーン・グループだ。現在日本にはいくつかホーンを主体としたグループがあり、またホーン・セクションを入れているバンドも増えてきたが、そのピッチ、リズム、グルーヴ、スピードなど音楽的に言ってBHBがトップだと私は思う。私が時折やっているジェイムズ・ブラウンのカヴァーだけをやるセッション「WE LOVE JB」で、ホーン・セクションをやってもらっているのがBHBだ。いつも言っているのだが、彼等なくして「WE LOVE JB」セッションは成り立たない。打楽器のように細かく、強くホーンを使うJBの曲でホーンが息を合わせるのはかなり難しい。それをやっ
てのけるのは日本ではBHBしかいないと私は思っている。さて、彼らの新譜のタイトルを見て「おお!」と思う人はかなりのソウル・ファンク通だ。このタイトル曲は"The World Is A Ghetto"や"Cisco Kid"のヒットをもつウエストコーストのファンク・バンド、"WAR"が1975年にヒットさせたものだ。そのタイトル曲はじめ、意外なアレンジのビートルズのカヴァー"Come Together"、またテレビ映画ドラマのテーマだった"Mission Impossible"のラテン風味もいい、ジャズのホレス・シルヴァーの"Nuttville"は4ビート隠し味ラテン仕立て、そしてもちろん彼等のオリジナルなども含め多彩な曲が、強力な結束力をもって録音されている。リズム隊はドラム沼澤尚、ベース沢田ひろし、ギター浅野祥之という鉄壁の布陣。そしてBHB。こういうメンバーが集まればこういう「いいモノ」が出来るのは当然だ。また、アルバム・ジャケットの赤い色のように燃える、そして炸裂するシャープで、ハードなホーンの切れ味がトランペットの佐々木史郎君の新加入によって更に増したように思える。朝起きて、「さあ、これから仕事だ!」という出陣の気合いを入れるのにこのアルバムはピッタリだ。テンションが10目盛りぐらいは上がる。ドライヴ・ミュージックにも最適と思われるが、思わずアクセルを踏み込んで
しまう可能性もあるので御注意のほどを。
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