MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.27




Blues 100撰-その4「Otis Spann/Otis Spann Is The Blues」
(CANDIDABCP-76)

これはオーティス・スパン名義のアルバムになっているが、内容はスパンとロバート・ロックウッド,Jr.のコラボレーション・アルバムと言ってよい。スパンとロックウッドというふたりのブルース名人による名演を記録した名アルバムだ。このデュオ・アルバムを夜更けに聴くと、夜風に乗ってブルーズが窓から忍び入ってくるような気がする100%無添加の純正なブルーズ・アルバムだ。
ピアノのスパンはマディ・ウォーターズ・バンドの右腕として、またシカゴの「チェス・レコード」のスタジオ・ミュージシャンとして素晴らしい演奏を残したピアニストだ。多くの「チェス・レコード」がブルーズの入門となった私にとっては、最初に耳に入ったブルーズピアニストがこのスパンであり、いまもって一番好きなブルースピアニストもスパンである。マディの歌の後ろで響くそのグルーヴ感のある、力強いピアノは初めて聴いた時から耳に残る印象的なものだったが、特にマディの"Mojo Working"のイントロのピアノには完全にヤラれてしまった。たった1小節にもかかわらずそのイントロのピアノはダンサブルにグルーヴしており、この曲の大きな特徴となっている。そして、その1小節だけでもオーティス・スパンがいかに優れたピアニストかということがわかる素晴らしいものだ。彼はソロ・アルバムも何枚か残しているが、この1960年録音の"Otis Spann Is The Blues"が最初のソロ名義アルバムだ。
片やロックウッドもシカゴの数々の名盤にスタジオ・ミュージシャンとして名を残してきた職人ギタリストだが、ただの職人ではない。芸術的職人ともいうべき美しいブルーズ・ギターを作り上げた人だ。南部のア−シーさと都会的なスマートさが融合した独創的なギター・スタイルは他に類のないものだ。また、彼を職人と呼びたくなるのは、歌の合間などに聞こえてくるそのオブリガードは的確さ、タイミングの良さなどによるのだが、そういう彼の見事な色づけがその曲の重要な、忘れられない一面になっているものが多い。中でもサニ−ボ−イ・ウィリアムンのアルバム"Down & Out Blues"で聞ける彼のプレイは極上のブルーズ・ギターのひとつだ。そんな優れたギタリストでありながら、彼がソロ・アルバム"Steady Rollin'Man"(デルマーク・レコ−ド)を発表したのは1970年。55才の時だ。そのアルバムもいずれこの「ブルーズ100撰」で取り上げることになると思うが、70年代日本のブルーズ・ムーヴメントの頃は彼の来日の素晴らしい演奏とも重なって、ブルーズ・ファン必聴の1枚となりかなりのセールスになった。またブルーズ・ギターを志す人にとっては、一度は出会うギター・スタイルであり、修得しなければならない基本が彼のギターにはたくさんある。スパンは70年に肝臓ガンで亡くなったが、ロックウッドは90才のいまも健在!昨年、ウエストコーストでブルース・コンサートに登場したロックウッドを観てきた吾妻光良の話では、いまも新しい曲に取り組んでいるそうだ。怠け者の私はそれを聞いただけでロックウッド翁に叱られている気分になり、酒のグラスが止まってしまった。
ブルーズ・デュオ・アルバムとしては最高の一枚。ふたりのリラックスしながらも奥深く、実に巧みな音の絡み。しかも、ミシシッピーのディープなブルーズのテイストもちりばめられている秀作です。また、このキャンディド・レコードから後に出された"Walkin'The Blues"、そしてプレスティジ・レコードの"The BluesNever Die!"また"Blues Is Where It's At, The"(BGOBGOCD221)もスパンのお薦めアルバムです。(Photograph参照

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