MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.28




John Scofield Plays The Music Of Ray Charles
/That's What I Say
(Verve0602498805343)

このアルバムを聴きながら「かっこいい!」と何度も声を出してしまった。ジャズ・ギタリストというカテゴリーに入り、しかもアヴァンギャルドなアプローチをする人という印象を持っている人も多いジョン・スコフィールドを敬遠している方がいるかも知れないが、この(レイ・チャールズ・トリビュート・アルバム)は『買い』だ。これは並のトリビュート・アルバムではなく秀逸な一枚だ。プロデュースはスティーヴ・ジョーダン。もちろんドラムも彼だ。ベースは映画"Lightnin'In A Bottle"でもチームを組んでいたウィリー・ウィークス。いまこのふたりにかなうリズム・セクションはちょっといないのではないだろうか。鉄壁のリズム隊だ。鉄壁と書いたが強いだけでなく、風に吹かれる柳のようなしなやかさも、春の午後の日射しのような柔らかさも具えている。とくに私が好きなブルーズやソウル、ファンク、ジャズ、ゴスペルがミクスチャーされたフィールドでは彼等の右に出る者はいないだろう。特にスティーヴ・ジョ−ダンの音楽の知識量に感心するとともに、選ぶひとりひとりのミュージシャンへの理解度にも驚く。選曲、人選、アレンジ、サウンド・メイキング、アルバム・コンセプト・・ジョーダンの最近の仕事ぶりは素晴らしいの一言だ。決して奇を衒うことなく、取り上げた1曲1曲の根幹(ソウル)は大切にし、しかも『いま』の音が確実にしている彼のプロデュースの力がこのアルバムでも結実している。
たくさんあるレイの名曲の中からまず"Busted"を取り上げるセンスの良さ。"タンッ!"という最初のスネアーの音色と切れに、もう「かっこいい!」と口走ってしまった私だ。そして、"Sticks And Stones""I Don't Need No Doctor"あたりを取り上げ、それをさりげなく今風にしている音造り。
確かにジョン・スコというギタリストのアルバムなのだが、「オレが、オレが・・」とギターが出て来ない。でも、ギターはよく歌っている。改めてジョン・スコの底力にも感心した。やっぱり音楽の引き出しの量が多く、深い。
1分31秒という"Crying Time"が終った後に出てくるメイヴィス・ステイプルズの"I Can't Stop Lovin' You........"のブルージーな歌声にまた「かっこいい!」が出た。ブルーズ曲の"Night Time Is The Right Time"では、原曲のレイの歌のパートをウォーレン・ヘインズが歌い、女性のマージ−・ヘンドリックスが歌うところをオルガンとギターが絡むソロ・パートにしているところなど実に憎いアレンジだ。そして、私もいつか歌いたいと思っているレイの隠れた名曲"Yoy Don't Know Me"がアーロン・ネヴィルのヴェルベット・ヴォイスで歌われる。また「かっこいい!」だ。
サックスにレイのオーケストラの要だったデヴィッド・ニューマンを入れているところもやってくれる。そして、最後に私にはあまり馴染みがなかったオルガンのラリー・ゴールディングズの素晴らしさを記しておく。さあ、みんな明日すぐに買いに走ってくれ!(Photograph参照

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