MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.41




★私の2005年
 
キリストの降誕祭なんてことはそっちのけのこの国のクリスマス騒ぎもやっと終った。キリスト教徒でなくても、信仰心がなくても一年の労をねぎらって互いに何かささやかなものをプレゼント交換するのは微笑ましく感じるが、分不相応なプレゼントをするのはいかがなものか。ついでに言わせてもらうなら「ヴァレンタイン・デー」も何であんなに盛り上がるのかわからない。「ハロウィン」に至っては言語同断!無意味だ。日本人が盛り上がるべきは正月であり「節分」「桃の節句」「端午の節句」だろう。大晦日の「カウント・ダウン」もなんとかして欲しい。いい年をした大人たちが「10,9,8,7,6,5・・・」と秒読みをして何が楽しいのか私にはわからない。大人の幼児化としか思えない。今年はやっと大晦日のイベントから逃れられ、そのカウント・ダウンにつきあわされず静かに過ごせる。今年の大晦日は風呂にゆっくり入って、年越しそばを食べ、心静かにこの一年を自省し新年を迎えたい。と言いつつ寝っ転がって酒飲みながら、恐らく20年ぶりぐらいに見る「紅白」にブツブツ文句を言って酔っぱらって寝てしまうのがオチかも知れない。
さて、極私的2005年の大きな出来事を振り返ってみたい。

『The History Of Blues』(photograph参照
5/31&6/1の二日間、東急Bunkamuraオーチャード・ホールで"The History Of Blues"のコンサートが実現したことは、長い時間がかかった企画だっただけに嬉しかった。それまでもコンサート・プロデュースをしたことはあったが、今回のように大掛かりなものはなかった。いいミュージシャンでいい音楽を、いい音で聴かせたい、美しいステージを見せたい、また映像も見せたい(日活のみなさんにはほんとにお世話になりました)といろいろと大変だった。でも、参加してくれたミュージシャン、スタッフのみなさんの力で「たくさんの人たち、そしてブルーズを知らない人たちにブルーズを!」という長年の想いが実現できて本当に感謝している。また、予想を上回るたくさんの人たちがこのイベントに応募してくれたことは、ブルーズがやりようによってはまだまだ多くのファンを獲得できる分野であることを示唆くれたと思う。このイベントの成功は私個人にもひとつの大きな自信となり、これからへの力強いステップとなりました。また機会があればやりたいと思っています。

『The Blues Power』
ブッチャー(浅野祥之)、タカチャン(沼澤尚)、ヒデキクン(松原秀樹)と始めたブルーズ・パワーは私とブッチャーで始めた「仏&仏茶」というデュオがきっかけだった。「ブルーズをやりたい!」というブッチャーの強い気持ちは前々から知っていたし、タカチャンの最近のブルーズへの接近もとても強力なものだとは思っていたが、まさか"Blues Power"を結成するまでにいくとは思っていなかった。というより、私が気がついた時にはバンド名もついて、トントンとツアーも組まれていったというのがほんとのところだ。現在"Blues Power"は松原君がいる時といない時と2つの形態で動いている。これは「ベースがいないサウンドもおもろい」という発想から来ている。だから、みなさんには両方のサウンドとビートを楽しんでもらいたい。というところで、ここだけの発表だが実は来年3月のローリング・ストーンズの来日に合わせて「ストーンズ・トリビュート(仮タイトル)」のアルバムが何人、何組かのミュージシャンによって現在製作されている。それに私たちBPも1曲参加することになり、すでに録音は終った。それはひとつのトライとしてベースなしで録音した。また、詳しくは後日書きますが、フル・アルバム製作も視野に入れて来年積極的に活動していくBPを応援してください。初エレキ・ギター・レコーディングをした私の自慢気な顔を観ていただきたい(photograph参照)。カメラマンは例によって斜め撮りの名手、沼澤尚です。

『Tour!Tour!Tour!』
今年は"Blues Power"や"仏&仏茶"だけでなく、森君や他の人たちとも本当によくツアーをやった。「うちにも来てくださいよ」なんていうオファーを次々受けていたら9連チャンになったり、7連チャンになったりすることもあったが、やっぱりツアーは楽しい。旅は私の気持ちを解放してくれる。閉め切った部屋の窓を開けて新鮮な空気を取り入れるようなものだ。もちろん連日ライヴをやって、また移動して・・・というのは肉体的に辛いが、まだまだギブ・アップするほど軟弱にはなっていない。いろんな街に行って、いろんな人に出会い、いろんな風景を見て、いろんなものを食べて、ぃろんな酒を飲んで、それで好きなブルーズを歌えるのだから幸せだと思う。いつまでこういう旅の生活が送れるのかわからないが、以前より酒の量も減ったので少し身体に気をつけていろんなところへ歌いに出かけようと思っている。来年も気楽に声かけてください。

『"Lightnin' In A Bottle"と"Ray"と"The Beat!!!!"』
音楽的に心に残った映像はこの3つだった。一昨年あたりからアフリカン・アメリカン系の質のいい音楽映画の公開とDVDのリリースが続いている。"Lightnin' In A Bottle"は2003年のアメリカ政府の「ブルーズ・イヤー」制定から始まった一連のブルーズ年事業の総集及び記念のようなコンサートを収録したものだが、何度見ても素晴らしい。 ステージ中央に立つシンガーやギタリストだけでなく、それをサポートするスティーヴ・ジョーダンはじめバック・ミュージシャン、そして監督のマーティン・スコセッシはじめスタッフのブルーズへの深い愛をひしひしと感じる映画だった。
"Ray"は亡きレイ・チャールズの伝記映画だ。盲目であり、黒人であるというふたつの辛苦をなめながら自分の音楽を作っていった彼の力強い精神があればこそ、愛情と包容力のある音楽が生まれたことを改めて知らされ勇気づけられた人も多いと思う。しかし、ドラッグに溺れたシーンなどを観ると音楽的に天才と呼ばれた彼にも人間的に愚かな一面はあったわけで、清く美しいだけの人生ではなかったが、そこから脱却して新たな音楽を創造していくレイのパワーがまた素晴らしい。
"The Beat!!!!"のDVD全6巻はブルーズとR&Bファンにはたまらない代物だ。去年発表された「アメリカン・フォーク・ブル−ズ・フェスティバル」のDVDと同じように実に貴重な映像が満載されている。60年代のTV番組のDVD化なので、いわゆる口パクがあったり変なところで映像が切れたりもしているが、でもゲイトマウス、フレディ・キング、オーティス・レディング、エスター・フィリップスはじめボビー・パウエル、ケリ−・ブラザーズが観れるなんてほんま生きてて良かった。
その他にも72年にスタックス・レコ−ドが催したブラック・ミュージックの一大フェスティバル"wattstax"のフィルムが新たな仕様で"special edition"としてDVD化された。また、71年のライヴと60年のニューポート・ライヴ、そして未発表の68年のライヴを満載したマディ・ウォーターズの"Classic Concert"も素晴らしい作品で、是非たくさんの人に観ていただきたい。

『Gatemouth BrownとLittle Miltonの死』
ゲイトマウスがブルーズだけでなくアメリカ音楽に残した功績の大きさは私が言うまでもない。映画"Lightnin' In A Bottle"にも登場し、名インスト・ナンバー「オーキー・ドーキー・ストンプ」をクールに決めてくれたゲイト。画期的で、個性的で、最後までヴィヴィッドな音楽をやり続けたミュージシャンだった。リトル・ミルトンは日本のブルーズ・ファンの間でもそんなに人気があったわけではなかったが、私はブルーズを知り始めた頃から大好きだった。チェス・レコード時代もいいがほぼリアル・タイムだったスタックス・レコ−ド時代に思い入れが深い。後年マラコでの大ヒット"The Blues Is Alright"は、私もカヴァーしているがきっとずっと歌い継がれていく歌になるだろう。その他、シカゴ・ソウルの大御所タイロン・デイビスもこの世を去ったし、R.Lバーンサイド やジョニー・ジョンソンも亡くなった。冥福を祈ることが今年も多かった割りに、新しいブルーズ・ヒーローは出てこない。

『ハリケーン・カトリーナ』
最近になってやっとアメリカ国民はブッシュの馬鹿さに気がついてきたようだが、ハリケーン・カトリーナの被害もまともな大統領だったらもう少し小さなものに出来たはずだ。結局、貧しいアフリカン・アメリカンのことなどブッシュは何も考えていないことが露呈したし、イランもぐしゃぐしゃに混乱させたままきっと大統領をやめることになるのだろう。ついでに言わせてもらうと、ブッシュとアメリカ議会は日本にヤバい牛肉を強引に輸入させることに成功したが、アメリカ牛肉なんて食べなくても私達は生きていける!ほんとにヤバい!狂牛病で日本国を潰すつもりか!と何故小泉は怒らないのか。後は不買運動しかない。話を戻そう。
アメリカ音楽の重要な都市であるニュー・オリンズがこれからどこまで元に戻れるのか心配だが、ニューオリンズ在住の朋友、山岸潤史によると来年のジャズ・ヘリテイジ・コンサ−トは過去最高のバジェットを使って大規模なものにする計画らしい。クラブも少しづつ元に戻っているというが、まだニュ−オリンズに戻れないミュージシャンたちもたくさんいる。私も救済コンサートに出させてもらったが、これからも機会あるごとに支援していきたい。日本人は喉元過ぎればなんとやらで、すぐ忘れて次へ行ってしまうがまだまだニュ−オリンズは復興から遠いことを忘れないで欲しい。がんばれ!ニューオリンズ!そしてがんばれ山岸!

『Guitar』
今年は「ギブソン335」と「フェンダー・テレキャスター・マディ・ウォーターズ・モデル・カスタム・ショップ」の2台のギターを買った。嬉しくていまでも部屋でボーッと眺めてしまうことがある。しかし高いギターを買っても腕前はなかなか上がらない。練習しているのだけど・・・なかなかこれが・・。来年の大きな課題のひとつだ。

正月の松飾りも買ったし、カレンダーも新しい「ブルーズ・カレンダー」(photograph参照)に替えた。手帳も来年のものを買った。ベランダの草木もきれいにしてこの前植えた水仙やカサブランカの球根が来春に咲くのを待つばかりだ。年末と正月は読まないで溜っている本を読み、観ないで溜っているDVDを観るつもりだ。来年も精力的にツアーをして全国各地にブルーズの種を蒔きに行き、アルバムも出したいと思っています。みなさん、来年もよろしくお願いします。よいお年を!
12/28今年最後のライヴはマコチャン(鮎川誠)とのロッキン・ブルーズ・ギグだ。時間のある方は是非、高円寺Jirokichiへ!



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