先日買い物に行ったついでに、ふらっと新宿タワーレコードに寄ってブルーズ売り場の試聴コーナーに立った瞬間、このDVDのパッケージを見て私はフリーズした。「何!???ウルフのライヴ映像?1970年?」 パッケージがあまりにも安っぽいので一瞬「ブートレッグか?」と思ったが、レーベルを見るとラウンダー・レコードのDVD部門Vestapolからのリリースだ。1970年といえばウルフ60才、亡くなる6年前のライヴ映像だ。こんなもの観たことない・・・。しかし、パッケージの裏の解説を読んでもメンバーと曲目、そして70年のワシントンDCのブルーズフェスのステージというくらいで大した解説は書いてない。でも、これは未発表だろう。動くウルフだ!観るしかない!買うしかない!と買い求めていそいそと家に帰った。
そして、これがとんでもない代物だった!
さて、のっけから問題ですが、MCの呼び込みの後に登場したウルフですがどんな様子で登場したでしようか?スクーターで登場したこともあるというウルフですが、この映像ではステージサイドから「四ん這い!!!」でのっしのっしと現れています。ウルフ(狼)だからそういう登場をしたのだと思いますが、バックのミュージシャンたちは驚きも笑いもしていないのでたぶんいつもこういう登場のやり方だったのでしょう。その登場曲がエルモアのブルーム調のシャッフル・ブルーズ"Highway
49"。もう強烈なシャッフル・ビートにのせてヒューバート・サムリンがソリッドなギターの音で繰り返しエルモア3連符を繰り出してくる。ムンムンのブルーズ臭(加齢臭なんてもんじゃない!)が映像から臭ってくる。と思っているうちにウルフがポケットからハーモニカを取り出し、膝まづいて吹き始める。おっと!サニーボーイ(ウィリアムスン)もやっていたハーモニカを縦に口に入れて吹く技をやってる!目をむいて客席を睨んでいるかと思うと、ニコッと笑う。意外と笑顔が可愛い、ウ・ル・フ・・・。右へ左へのっしのっしと歩き回る。ネクタイが少し短かすぎるが。そして楽屋インタビューを挿み、How
Many More Years そして出た!Killing Floor!
ヒューバート・サムリンのギター、シャープに切れてます。切れてます。カッコいい!思わず私もギターをかかえてソファの上で共演!そして、もうこれ以上のブルーズ・ヴォイスはないだろうという声で始まるBack
Door Man!・・・・ああああぁぁウルフ・・・。後は自分で買って観てください。絶対損はしません。
バンド・メンバーはSunnyland Slim(piano),Hubert Sumlin(guitar),Randy Joe Fullerton(bass),S.P.Leary(drums)若い白人のベーシスト、ランディ・ジョー・フラートンだけどういうキャリアのミュージシャンなのかわからないが、ドラムのS.P.リアリーは50年代終わり頃からシカゴ・ブルーズ・シーンで活躍を始めて60年代にはウルフやマディ・ウォーターズ、オーティス・スパンなどのレコーディングに参加、またT-ボーン・ウォーカー、ジョン・リー・フッカーのアルバムでも名を見つけることができる。ウルフのライヴには60年代中頃からウルフが亡くなる76年頃まで参加しウルフのグルーヴとサウンドを支えたブルーズ・ビートの強者だ。また、ピアノのサニーランド・スリムはマディやJ.B.ルノアー、ウルフはじめ膨大なレコーディングとライヴに参加し、自分のソロ・アルバムもたくさんあるブルーズ・ピアノの重鎮だ。そう、78年に来日した時に彼が歌った"Everytime
I Get Drinkin'"はいまも私の胸に残っている。ヒューバート・サムリンは言わずと知れたウルフの右腕。この人のギターの音色なしにウルフのブルーズを考えるのは難しいくらいだ。少し微笑みながらギターを体にぐっと引き寄せて弾く彼の姿がいつもウルフの写真の後に映っていた。
名ブルーズギタリストのひとりだ。
約60分、楽屋インタビューを交えて演奏されている曲目は以下の通り
1.Highway49
2.How Many More Years
3.Killing
Floor
4.Howlin' For My Baby
5.Back Door Man
6.I Want To Have A Word With You
7.Smile At Me
8.Decoration Day
bonus truck:Sittin' On Top Of The World |