MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.65




65-Bonnie Raitt & Friends / Soundstage 1974
(DVD BLUE HEAVEN VISION BHV-006)(photograph参照
 

ベースの中條君がドラムの沼澤君の誕生日にプレゼントしたこのDVDをスタジオの空き時間にみんなで観ていたのだが、あんまり面白いので沼澤君に借りて家でゆっくり観てみた。これはボニー・レイットがホスト(ホステスか?)をしたシカゴのTV番組でゲストにジュニア・ウェルズとバディ・ガイを招いた時のフィルムだ。1974年の制作。最初にボニー・レイットが出てきてバディ・ガイを紹介してバディ・バンドの演奏が始まるのだけど「もうなんやねん?その衣装?」「どこで売ってんねん?」と突っ込みを入れてしまったバディの衣装。
チェック柄の派手なロングコートで異常にでかい襟が白の毛皮かボアみたなやつでできている。ズボンもまったく同じ生地とチェック柄のものだ。しかしいかにもギターが弾きづらそうな重そうなコートだ。私ならコートを脱ぐところだが(まあ、まず買いませんがね)、たぶんTV出演ということで気合い入れて買ってきたので脱ぎたくなかったのだろう。そして、異常にでかいアフロ・ヘアの男が後ろに見える。バディの弟ギターのフィリップ・ガイだ。「なんでそこまでアタマ大きせなあかんねん!」とまた突っ込みを入れてしまう。フィリップの横にいるサックスのA.C.リードだけがフツーだ。ドラムの兄ちゃん(名前がわからない)もスーツの襟がホルスタイン柄でそのホルスタイン柄が入った帽子とコーディネイト(?)されている。まあ、コーディネイトというほどではなく「こーでないと」くらいのものだが・・。ベースの兄ちゃん(たぶんボブ・マーゴリン)の大きな花の模様がプリントされているベースはラブ&ピース時代の名残か・・なんだそれ。
さて、ステージは1曲目バディのアップテンポ"A Man Of Many Words"から始まる。ギターは赤のギルド。ハイトーンの声で歌った後のギター・ソロがえぐい!!めちゃえぐい!!観ながら「オオッ!オ、オ、オーッ!」と思わず声が出てしまう。
2曲目からジュニア登場。曲は"Little By Little"。ジュニアはたぶんジェイムズ・ブラウンを意識した真っ赤なジャンプ・スーツで胸には金のでかいメダルがついたネックレス(オリンピックの金メダルみたいに見える)がぶらさがってる。このジャンプ・スーツと金メダルは初めて来日した時(75年)も着用していたのを憶えているからかなり気に入ってた「こーでないと」なんだろう。靴は「それシークレット・シューズちゃうの?」と言いたくなるほど高さがありエナメルなのかピカピカの赤だ。3曲目"What My Mama Told Me"でのバディのソロがまたかっこいい!その後にソロを回された弟フィリップは可哀想だ。ワウワウを使ってワカッア、ワカッアとがんばっているが兄バディがパキパキに弾き倒したソロのあとなので悲しいくらい地味だ。それにしてもジュニアのプレイは「テレサ」あたりのシカゴのブルーズ・クラブの匂いがプンプンする。バディよりももっと体にそういう匂いが染み込んでいる感じだ。その臭さがたまらん。変にカッコつけていてスカしているのがめちゃ笑える。そのあたりのアクション、仕草はKOTEZ君がとてもうまくマネしているので機会があれば飲み屋でKOTEZ君に酒でもおごって「ジュニアのマネ見せて!」と言えばやってくれます。
もう1曲"Mystery Train"をジュニアが歌ったあとにボニー・バンドの登場だ。
ボニーはいまもお美しいがこの頃(25才くらい)はいまよりふっくらしていて可愛い。1曲目は彼女の2nd"Give It Up"に収録されている彼女のオリジナルでブルーズ進行の"Love Me Like A Man"。こんな可愛い顔してなんでブルーズなんか好きになったんでしょうね。しかも泥臭いスライド弾くし・・。ギターはかって山岸潤史が「あれは女のボニーにしか弾けんスライドギターや」と言ったように泥臭く力強いけどどこか優しさがある独特のものだ。
その後ポール・シーベルの"Any Day Woman"そしてジャクソン・ブラウンの"Under The Falling Sky"といったシンガー・ソングライター系の曲が続く。考えてみればボニーの音楽的なスタンスは基本的にずっといまも変わっていない。つまり「ブルーズが大好きなシンガー・ソングライター」というスタンスだ。僕は当然そのブルーズ大好きな彼女が大好きなのだが、ブルーズをやる時のボニーのいいところは変に黒人のように歌おうとか演奏しょうとしないところだ。いつも自分の声で自分の歌い方でナチュラルにやっているところだ。無理がなくてしかも何かほんのりといやらしくない品のある色気を感じさせる歌とギター。
その後の曲、彼女がツアーも一緒にやっていた大好きなブルーズマン、フレッド・マクダエルの"Write Me A Few Of Lines"ではその見事なスライドも聞かせてくれる。そして黒人ブルーズウーマン、シピー・ウォーレンスの"Woman Be Wise"と続くが、ボニーも説得力があってすごくいい。
そして、最後に再びジュニア、バディ、A.C.リードがボニー・バンドに入ってセッションとなり2曲やって終わる。ちなみにジュニアとA.C.リードは71年のボニーのファースト・アルバム"Bonnie Raitt"に参加していてその頃からの付き合いだろう。客席は全部若い白人。ヒッピーくずれみたいな人たちから真面目そうな人たちまでいる。
ボニーたちのシャツにジーンズというスタイルとバディたちの前述したファッションの違いは同じ国の人たちとは思えない。白人と黒人のセンスの違いをファッションにも音楽のアプローチの仕方にも感じるフィルムだったが、ブルーズという音楽を介在して互いに互いを認め合い一緒にやっている光景はいいものです。
ひとつ、ボニーのバックでベースを弾いているフリーボという背の高いこれまた頭のでかい兄ちゃんは当時のボニーのアルバムにほとんど参加しているのですが、このDVDでフリーボを見る時のボニーのまなざしに「特別な愛」があるようでちょっと嫉妬します。そんなことで嫉妬してどうすんねんと言われればそれまでですが・・・。


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