MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.67




67-LIVE!!!Jon Cleary & The Absolute Monster Gentleman At Shibuya Quattro 08.10.15
Jon Cleary(vo,piano,key)
Derwin"Big D"Perkins(g,cho)
Cornell Williams(b,cho)
Eddie Christmas(dr)
 

久しぶりに何もかも忘れさせてくれるファンキーなライヴだった。
ジョン・クリアリーは昔から知っている。もう15年くらい前だろうか、彼がひとりで初めて日本に来た時、たまたま横浜でウエストロードのライヴがあった日に山岸がジョンを連れてきた。ジョンはまだ無名で僕もその時初めて彼を知った。それで何曲か一緒にやろうかということになったのだけど、すごくやりたそうだったので結局全曲彼に参加してもらった。素晴らしいピアノ・プレイだった。とくにニューオリンズ・スタイルは板に付いていた。すっかりアメリカ、ニューオリンズ生まれかと思っていたら何と!イギリス人だった。本人は「生まれた場所を間違えた」と言っていた。ニューオリンズの音楽が好きで結局イギリスから移住してしまったわけだけど・・・。
ライヴが終わってから「少しはジョンにもギャラを渡さないと」と思って、山岸に相談するといつもの調子で「ホトケ、適当に頼むわ」。頼むわと言われても・・と考えているところへ、そのお店からギャラ以外に車代みたいのが出された。下世話な話だが1万円だった。それをそのまま「ジョン、ありがとう」と言って渡してあげた。ジョンはすごく喜んでいた。後から山岸に「ジョンに1万あげたよ」と言うと、「それは多いがな」と言って山岸は笑った。確かに当時まだ無名だった彼にとって1回のギグでもらったギャラが100ドルというのはかなりなものだったかも知れない。
でも、いまやジョンは自分のバンドをもって年間200本ライヴをこなしアルバムもコンスタントに出している。またボニー・レイットのバンドのメンバーであり彼女に曲も提供しているし、B.B.キング、タジ・マハールはじめ多くのレコーディングにも参加している売れっ子ミュージシャンだ。金を貸して欲しいくらいだ。

今回のメンバーはそれぞれに腕達者だし、このメンバーでたくさんライヴもこなしているのでサウンドとグルーヴはどっしり安定していた。日本ツアー向けの急ごしらえのバンドでないことはライヴが始まってすぐにわかった。外タレのコンサートで「ああ、このツアーのための急ごしらえのバンドだな」と感じると興ざめすることありますよね。
まず、ドラムとベースが「行き過ぎる」感じがないのがいい。くどくない。あくまでもジョンの歌とピアノを囲んでのプレイだ。緩急自在、リズムのコンビネーションがとてもいいふたりだった。
ギターの「小錦」(勝手に名付けさせてもらいました)ことビッグDはまさに名手。リズム・カッティングのグルーヴとその音色が素晴らしい。単音と複音を絡めた長いソロの曲が1曲あったが、大きな体に似合わず(失礼)繊細な小技の引き出しも多くてまったく飽きなかった。彼も「行き過ぎ」がなく、あくまでもひとつひとつの曲の中での自分の役割をしっかりと、しかも緊張感を失わずやるというプロ中のプロのプレイだった。
もうひとつ、ベースのコーネルとドラムのビッグDのふたりがしっかりコーラスできるところもこのバンドの楽しいところだ。
ジョンはピアニストというだけでなくソングライター、アレンジャーなどいろんな意味でドクター・ジョン以後のニューオリンズのトップ・ピアノ・プレイヤーだと思う。
今回もニューオリンズ調からジャズ、ブルーズ、ラテンと様々なテイストのピアノを聴かせてくれた。途中で失礼ながら「こんなに上手かった?!」と思う場面も何度かあった。歌も変に力むこともなくナチュラルで僕は好きなタイプだ。
曲はジョニー・ギター的なファンクがあったり、70年代始めのソウル・ミュージック・テイストだったり、ビル・ウィザース風の楽曲だったり、ブルーズが出てきたりだが、ニューオリンズのダシはたっぷり含んでいる。ソング・ライターとして素晴らしい彼のオリジナル曲は前から大好きだ。いろんな曲調のものがあるのだけどバラけた感じがしないのは、アレンジの上手さとバンドの統一感があるからだろう。
つまり、このバンドは「バンド」だった。つまりジョン・クリアリーのバック・バンドではなくて全員でサウンドとグルーヴを作り上げている、誰ひとり欠けてもこの音はできない「バンド」でした。そういう音の結束をライヴの随所で感じました。思えば同じニューオリンズの「ネヴィル・ブラザーズ」が初来日した時も「バンドの結束」を強く感じさせてくれたものでした。月末に来日する今回のネヴィルはどうなんでしょうね・・・・。
自分がバンドをやっているせいもあってやはりメンバー全員で熱いグルーヴに突入していく感じが僕は一番好きだ。
最近外タレのコンサートで心から満足したことがなかったけれど、この夜の「Jon Cleary & The Absolute Monster Gentleman」は久しぶりに「音楽はいいなぁ〜」と体を揺らしながら感じたライヴだった。ああ、ひとつ、アール・キングの"Those Lonely Lonely Nights"の歌詞で始まったあの曲、オリジナルかなぁ?何ていうのだろう・・・。すごくよかった。

☆ライヴに行けなかった人たちは、日本の「バッファロー・レコード」からリリースされている彼の最新のライヴ盤"Mo Hippa"でお楽しみください。
Buffalo Records → http://www.buffalo-records.com/index.asp
その前にリリースされた"Pin Your Spin"も素晴らしいですよ。


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