MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.70




70-「ハウリン・ウルフ ブルースを生きた狼の一生」
ジェイムズ・セグレスト、マーク・ホフマン著 新井崇嗣 訳
ブルース・インターアクションズ刊
(原題:Moanin' At Midnight / The Life Times Of Howlin' Wolf (photograph参照
 

待ちに待った偉大なブルーズマン、ハウリン・ウルフの伝記だ。
どこからブルーズ・フィールドに入り込んでも、結局いつかは必ずハウリン・ウルフに出会うことになる。
何しろ「吠える狼」だがらその強烈なヴォーカルに最初からKOされる人もいれば、あまりに強烈すぎてすぐには馴染めなかったという人もいる。
でも、ブルーズを聴き続けていればいつかはきっとウルフのパワフルなだけでなく繊細で優しくそして楽しい、そのスケールの大きいブルーズの世界のとりこになるはずだ。
この本は貧しく、厳しい南部での幼少の頃からメンフィス、シカゴと成功に向かっていくハウリン・ウルフという偉大なブルーズマンの伝記ということだけではなく、生きるための大切な考えや仕事への心構えや人間への深い愛情についても書かれている。つまり、私たちが生きていく上で経験する大切な事柄がちりばめられている。ウルフやブルーズのことをそんなに知らなくてもこの本は充分楽しめる。でも、できることならウルフのベスト盤でも聴きながら読むともっと面白いと思う。
かなり厚い本なので完読するにはかなり時間がかかるし、片手間で読める軽い本でもない。でも本当に大切な時間を割いてでも読む価値がある本だ。
そして、ブルーズを愛すると自認する人なら読まなければいけない必読の書だ。

この本を読んであのコワモテの顔からは想像できないほど繊細で、深い愛と秘めた情熱を持っていたウルフのことを知ってから彼の歌を聴くとまた新たな感慨が湧いてくる。

いままでたくさんミュージシャン関連の本を読んできたが、抜群の面白さだった。
この本を読んでいままでの自分の音楽への選択が間違ってなかったことを確信し、これからもブルーズまみれになって歩んでいくだろう明日に心強い支えをもらった気持ちがしている。

ブルーズを、ウルフを、読んでください。

☆付録に嬉しいアナログ・シングル"Moanin' At Midnight"付いてます。


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